うつ病患者とかかりつけ医、認識のギャップが浮き彫りに

提供元:ケアネット

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公開日:2014/02/05

 

 米国・コロラド大学のRobert D Keeley氏らは、うつ病診療におけるプライマリ・ケア医と患者の認識について質的研究を行った。その結果、患者がうつ病であることを受け入れ、治療を求めることについて感じているスティグマを、医師は過小評価する傾向にあること、また患者は十分に時間をかけて医師とディスカッションすることを望んでいるのに対して、医師は長時間のディスカッションが患者にとって不利益をもたらすと考えているなど、医師と患者の認識の相違が浮き彫りになったことを報告した。BMC Family Practice誌オンライン版2014年1月15日号の掲載報告。

 米国では、プライマリ・ケアにおける診療を“Patient-Centered Medical Homes(PCMH)”、すなわち患者中心型医療に変えるための努力が、プライマリ・ケアでの診療改善の焦点となっている。しかし、PCMHをめぐる技術革新や通信インフラの発展にもかかわらず、患者の認識を踏まえた前向きな診療に対する理解と促進が十分に進んでいないのが現状である。そこでKeeley氏らは、プライマリ・ケアでのうつ病診療に際し、患者の体験、期待、嗜好などについて、医師と患者の認識の差を検討した。地方および都会の小~中規模のプライマリ・ケア4施設が参加し、うつ病性障害患者30例を抱えるプライマリ・ケア医6名にインタビューを行った。

 主な結果は以下のとおり。

・満足のいくうつ病ケアには、以下の3つの過程があることが示唆された。
(1)砕けてしまったものをつなぐ。
(2)個々の患者のうつ病に対する理解を探る。
(3)現在のうつ状態と将来のエピソードを防止するための、独自の治療空間をつくる。
・患者がうつ病を受容し、治療を求めることをスティグマであるとみていることについて、医師は過小評価する傾向にあった。
・患者は、自分の思いに共感を示し、耳を傾けてくれる医師を好むが、一方で医師は、長々と患者と話すことで“パンドラの箱”を開けてしまうことや、診察時間が長くなってしまうことを懸念していた。
・うつ病により身体に現れた症状が、患者自身のうつ病の苦悩の理解を妨げるという点に関しては、医師も患者も同意見であった。
・医師らは、ガイドラインに基づくうつ病のためのアプローチ以外のいくつかの治療手段を支持するとした。また、患者らが述べている多面的なサポートについても表面的には理解を示した。
・プライマリ・ケアのプロセスとアウトカムの改善にあたっては、患者の体験、期待および嗜好を理解し、評価する能力の向上が要求されることが示唆された。
・今後の研究で、うつ病ケアにおけるスティグマ、ならびに受診時にうつ病に関するディスカッションに費やす時間について、医師と患者の認識の相違にまつわる検討が進められる必要がある。
・うつ病などの慢性疾患のケアとアウトカムの改善にあたっては、プライマリ・ケア医が患者独自の“治療空間”を理解し、サポートすることが求められる。

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(ケアネット)