国立成育医療研究センター 成育社会医学研究部では、日本の全国的な前向きコホート研究における4万人以上のデータから、母乳栄養が小児期後期での過体重や肥満に及ぼす効果を調査した。その結果、母乳栄養は部分的もしくは短期間であっても、とくに男児において、小児期後期における過体重や肥満の潜在的予防効果があることが示唆された。Obesity誌オンライン版2014年3月4日号に掲載。
わが国の全国的な集団ベースの前向きコホート研究から、毎年、授乳状況および身体測定データを収集した(男児:2万1,425人、女児:2万147人)。母乳育児の状況は、生後6ヵ月時点での状況(完全母乳/混合/人工乳、期間)を調査した。1.5歳から8歳までのBMIの経過について、過体重および肥満状況の経過とともに、混合効果モデルを用いて評価した。
主な結果は以下のとおり。
・「混合栄養」および「ほぼ母乳栄養」の男児は「ほぼ人工乳栄養」の男児より、主効果である低BMIを示し、また年齢によるBMIの変化における傾きの増加が緩やかだった。
・「母乳栄養」の男児は、「ほぼ人工乳栄養」の男児と比較して、7歳時と8歳時でBMIが低かった(それぞれ、p=0.002、p<0.001)。
・女児では、授乳タイプによる主効果は統計的に有意ではなかったが、同様の関連性が認められた。
(ケアネット 金沢 浩子)