抗てんかん薬の使い分け:独での使用調査 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2014/08/20 抗てんかん薬の選択に影響を及ぼす要因は何なのか。ドイツ・エアランゲン大学のHajo M. Hamer氏らは、同国における抗てんかん薬(AED)の使用実態を、大規模データベースを用いて後ろ向きに分析し調査した。その結果、AEDによる治療は個人の置かれている状況によりさまざまで、性別、保険の種類および住んでいる場所により異なることを報告した。CNS Drugs誌2014年8月号の掲載報告。 調査は、ドイツの大規模データベースDisease Analyzerを用いて行った。同データベースには、一般開業医および専門医の診療コンピュータシステムから得られた匿名の医療行為(診断、処方)のデータが収集されている。その中から、2010~2012年の間に神経科医346名がてんかんと診断(ICD10コード: G40.X)した成人患者4万3,712例について、社会人口学的特性、併存症、およびAED治療に関して調べた。多変量ロジスティック回帰を用いて調整オッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を算出した。 主な結果は以下のとおり。 ・男性は女性に比べ、ラモトリギンの使用が少なく(OR:0.68、95%CI:0.65~0.72、p<0.001)、むしろカルバマゼピンが多く処方されていた(OR:1.29、95%CI:1.23~1.35、p<0.001)。 ・民間保険(PHI)でカバーされていた患者と比べ、公的健康保険(SHI)でカバーされていた患者はバルプロ酸が多く使用されており(OR:1.19、95%CI:1.07~1.31、p<0.001)、肥満の割合が高かった。(SHI:3.1%、PHI:1.6%、p<0.001)。 ・一方、PHIはレベチラセタムの投与と関連していた(OR:1.27、95%CI:1.16~1.4、p<0.001)。 ・カルバマゼピン(OR:1.25、95%CI:1.17~1.31、p<0.001)およびプリミドン(OR:1.23、95%CI:1.08~1.38、p<0.001)は、都会に比べ田舎でより多く使用されていた。 ・ラモトリギン(OR:1.31、95%CI:1.23~1.39、p<0.001)は、東ドイツに比べ西ドイツでより多く使用されていた。 ・都会での生活は、レベチラセタムによる治療機会の増加と関連していた(OR:1.23、95%CI:1.17~1.28、p<0.001)。 ・診療ガイドラインは存在するものの、ドイツのてんかん患者に対するAED治療は個人の置かれている状況によりさまざまであり、性別に加え、加入している保険の種類および住んでいる場所がAED治療に強く影響していた。 関連医療ニュース 新規の抗てんかん薬16種の相互作用を検証 難治性の部分発作を有する日本人てんかん患者へのLEV追加の有用性は 新規抗てんかん薬の催奇形性リスクは 担当者へのご意見箱はこちら (ケアネット) 原著論文はこちら Hamer HM, et al. CNS Drugs. 2014 ;28:753-759. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 前糖尿病の肥満へのチルゼパチド、糖尿病発症リスク93%減/NEJM(2024/11/22) 生後2年間のデジタル介入で肥満リスク低下/JAMA(2024/11/22) BRCA1/2病的バリアント保持者における乳がん後の二次原発がんリスク/JCO(2024/11/22) 家庭内のインフル予防、手指衛生やマスクは効果ある?~メタ解析(2024/11/22) 統合失調症患者に対する抗精神病薬の投与経路変更の影響は〜メタ解析(2024/11/22) 「週末戦士」でも脳の健康に利点あり(2024/11/22) 減量薬のアクセス拡大が年4万人以上の米国人の命を救う可能性(2024/11/22) 抗てんかん薬の早期処方が認知症リスクの低さと関連(2024/11/22) [ あわせて読みたい ] 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20) マッシー池田の神経内科快刀乱麻!<上巻>(2012/12/01) マッシー池田の神経内科快刀乱麻!<下巻>(2012/12/01)