英国・マンチェスター大学のAbigail K. Langton氏らは、皮膚の構造および組成の鍵となる決定要素について検討を行った。その結果、個々人の地理的系譜の違いにより根本的な皮膚の構造および皮膚組成に違いがあることが明らかになった。これまでの研究では、地理的系譜の検討は主として皮膚の色素沈着に焦点が当てられ、皮膚の全般的な形態構造や真皮と真皮表皮接合部(DEJ)の組成についての報告はほとんどなかったという。British Journal of Dermatology誌2014年8月号(オンライン版2014年6月18日号)の掲載報告。
皮膚の構造および皮膚組成をアフリカ人・ユーラシア人・極東アジア人で評価
研究グループは、多様な地理的系譜を有する個人を対象に、皮膚の形態および組成の特徴づけを行った。
免疫組織化学法で、若年のアフリカ人、ユーラシア人、極東アジア人(それぞれ7例、18~30歳)の皮膚について、形態およびDEJと皮膚細胞外基質の蛋白質組成を評価した。
皮膚の構造および皮膚組成の鍵となる決定要素について検討した主な結果は以下のとおり。
・アフリカ人の表皮はユーラシア人や極東アジア人と比べて厚く、表皮突起がより深く、DEJがより複雑であった。
・ユーラシア人と比べて、アフリカ人(p<0.001)および極東アジア人(p<0.01)では、DEJの蛋白質組成でコラーゲンVIIが乏しかった。
・アフリカ人の真皮は、原線維コラーゲンが豊富だったが(p<0.05)、相対的にエラスチンは乏しかった(p<0.05)。
・アフリカ人の真皮はユーラシア人や極東アジア人と比べて、原線維が豊富な微小線維およびfibulin-5が多かった(いずれもp<0.001)。
以上から、緯度的に異なる系譜集団は異なる環境にさらされることにより、皮膚の構造および組成に適応を引き起こす可能性が示唆された。著者は「これらの差の機能的有意性や臨床上の影響へのさらなる研究が求められる」とまとめている。
(ケアネット)