腰痛と脂質異常との関連、BMIが交絡

提供元:ケアネット

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公開日:2014/10/10

 

 これまでに横断研究によって腰痛の有病率と脂質異常との関連が示唆されているが、その因果関係は明らかになっていない。ノルウェー・オスロ大学病院のIngrid Heuch氏らは、地域住民を対象とした前向きコホート研究HUNT2およびHUNT3のデータを解析し、現時点で腰痛を有していない人が腰痛を発症するリスクと脂質異常との関係にはBMIが交絡していることを明らかにした。また、すでに腰痛を有している男性では、「HDLコレステロールの低値が痛みの強さに影響する可能性がある」と指摘している。PLoS One誌オンライン版2014年9月18日号の掲載報告。

 研究グループは、総コレステロール、HDLコレステロールおよびトリグリセライド値と、腰痛との関連を検討することを目的に、HUNT2研究(1995~1997年)およびHUNT3研究(2006~2008年)のデータを用いて、試験開始時の腰痛の有無別に11年後の慢性腰痛の有無について解析した。

 解析対象は30~69歳の成人で、試験開始時に腰痛を有していなかった女性1万151例/男性8,731例、腰痛を有していた女性3,902例/男性2,666例であった。

 主な内容は以下のとおり。

・試験開始時に腰痛のなかった女性は、年齢のみで補正した解析において、調査終了時の慢性腰痛のリスクとHDLコレステロール値が負の相関を、トリグリセライド値は正の相関を示した。
・同関連性は、試験開始時の他の因子(学歴、就労状況、身体活動、喫煙、血圧、BMI)で補正後は、ほとんど認められなかった。相対リスク(RR)は、HDLコレステロール値1mmol/L当たり0.96(95%CI:0.85~1.07)、トリグリセライド値1単位当たり1.16(同:0.94~1.42)。
・総コレステロール値は、腰痛と関連していなかった。
・試験開始時に腰痛を有した女性と腰痛のない男性では、弱い関連性が観察された。
・試験開始時に腰痛を有した男性は、すべての因子で補正した解析において、HDLコレステロール値と負の相関が認められた(RR:0.83、95%CI:0.72~0.95)。

(ケアネット)