抗精神病薬の代謝への影響、男性でとくに注意 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2014/10/31 統合失調症における一炭素代謝(OCM)の異常は、これまでに繰り返し報告されている。しかし、統合失調症に対する抗精神病薬によるOCMへの選択的な影響を検討した研究は不足しているうえに、得られた結果に一貫性がなかった。ポーランド・ヴロツワフ医科大学のBlazej Misiak氏らは、初回エピソード統合失調症患者を対象とし、第二世代抗精神病薬(SGA)が血清総ホモシステイン(tHcy)、葉酸、ビタミンB12、リポ蛋白および血糖値に及ぼす影響を検討した。その結果、SGA投与後、BMI、血清総コレステロール(TC)、LDLコレステロール(LDL-C)、トリグリセライド(TG)およびtHcy濃度は有意に高値を示し、葉酸とビタミンB12濃度は有意に低値を示すこと、とくに男性において注意が必要であることを報告した。European Journal of Clinical Pharmacology誌オンライン版2014年10月8日号の掲載報告。 本研究では、初回エピソード統合失調症患者39例を登録し、ベースライン時およびオランザピンやリスペリドンを単独で用いたSGA治療12週後の、血清tHcy、葉酸、ビタミンB12、リポ蛋白および血糖値を測定し評価した。 主な結果は以下のとおり。 ・治療12週後、すべての患者でBMI、血清中TC、LDL-C、TGおよびtHcy濃度は有意に高値を示し、葉酸とビタミンB12値は有意に低値を示した。 ・SGA間の相違を解析したところ、オランザピン投与患者は全集団と同様の生化学的変動がみられたが、リスペリドン投与患者では血清中葉酸、ビタミンB12およびTG値に統計学的に有意な変化はみられなかった。 ・オランザピン投与患者はリスペリドン投与患者と比較して、BMI、TCが有意に高値を示した。 ・オランザピン投与患者はリスペリドン投与患者と比較して、ビタミンB12値が有意に低値を示した。 ・葉酸、ビタミンB12、tHcyおよびTC値の変動は、Bonferroni調整後、男性においてのみ有意であった。 ・多変量回帰解析により、tHcy値の変動は性別、ベースライン時の代謝パラメータ(BMI、血糖値、TC、LDLおよびHDL)に関連し、投与したSGAには関連しないことが明らかとなった。 ・とくに男性の初回エピソード統合失調症では、SGAがOCMに影響を及ぼす可能性があると考えられた。 関連医療ニュース ビタミンD欠乏で統合失調症発症リスクが2倍に 日本人統合失調症患者の脂質プロファイルを検証!:新潟大学 どの向精神病薬で有害事象報告が多いのか 担当者へのご意見箱はこちら (ケアネット) 原著論文はこちら Misiak B, et al. Eur J Clin Pharmacol. 2014 Oct 8. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 前糖尿病の肥満へのチルゼパチド、糖尿病発症リスク93%減/NEJM(2024/11/22) 生後2年間のデジタル介入で肥満リスク低下/JAMA(2024/11/22) BRCA1/2病的バリアント保持者における乳がん後の二次原発がんリスク/JCO(2024/11/22) 家庭内のインフル予防、手指衛生やマスクは効果ある?~メタ解析(2024/11/22) 統合失調症患者に対する抗精神病薬の投与経路変更の影響は〜メタ解析(2024/11/22) 「週末戦士」でも脳の健康に利点あり(2024/11/22) 減量薬のアクセス拡大が年4万人以上の米国人の命を救う可能性(2024/11/22) 抗てんかん薬の早期処方が認知症リスクの低さと関連(2024/11/22) [ あわせて読みたい ] 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20) カスガ先生の精神科入門[負けるが勝ち!]<上巻>(2012/12/01)