これまでの研究報告から、コーヒーや紅茶の成分には抗腫瘍効果があることが示されている。また、疫学研究の中には、コーヒーおよび紅茶を摂取する女性は悪性黒色腫(メラノーマ)リスクが低いと報じているものもある。マサチューセッツ大学アマースト校のHaotian Wu氏らは、WHI(Women's Health Initiative)観察研究コホート(フォローアップ中央値 7.7年)に登録されている6万6,484人の閉経後女性を対象に、コーヒー・紅茶と悪性黒色腫リスクとの関連をプロスペクティブに検討した。その結果、長期的にコーヒーを飲む人の間で悪性黒色腫リスクが低いという観察結果は得られたが、著者らは「摂取の量やタイプによる一貫性が欠如していることから、本結果を過剰解釈することは適切ではない」との見解を示している。European journal of cancer prevention誌オンライン版2014年10月16日号に掲載報告。
コーヒー・紅茶の摂取は、ベースライン時およびフォローアップ3年後に、自記式質問票により調査した。自己申告による悪性黒色腫罹患率は、診療記録によって検証が行われた。悪性黒色腫の診断(398例)、死亡、追跡不能まで、または2005年までの観察人時に基づき、共変量で調整した推定リスクをCox比例ハザードモデルにより算出した。
主な結果は以下のとおり。
・毎日のコーヒー(ハザード比[HR] 0.87、95%CI:0.68~1.12)、および紅茶(HR 1.03、95% CI:0.81~1.31)の摂取は、それぞれを毎日摂取しない人と比較して、悪性黒色腫リスクの有意な関連は見られなかった。
・悪性黒色腫リスクとコーヒー、紅茶の摂取量増加との間に、有意な傾向はみられなかった(各々傾向のp=0.38、p=0.22)。
・ベースライン時および3年時ともに、「毎日コーヒーを飲む」と申告した女性は、両時点で「毎日コーヒーを飲まない」とした女性よりも、リスクが有意に低かった(HR 0.68、95% CI:0.48~0.97)。
・日常的な紅茶の摂取は、悪性黒色腫リスクの減少と関連していなかった。
・全体的に、コーヒー・紅茶の摂取量増加が悪性黒色腫リスクの低下に結び付くという強いエビデンスは認められなかった。
(ケアネット)