ダビガトランの試験成績、実臨床で再現されるか

提供元:ケアネット

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公開日:2014/11/17

 

 ダビガトラン(商品名:プラザキサ)はワルファリン(商品名:ワーファリンほか)と比べ、脳卒中と頭蓋内出血の発症を減少させる一方、消化管出血を増加させることが、長期臨床試験RE-LY trialで示されている。しかしながら、臨床試験の結果が実臨床には合致しないかもしれない。
 そこで、FDA医薬品評価研究センターのDavid J. Graham氏らは、高齢のメディケア加入者におけるワルファリンとダビガトランの比較研究を行った。Circulation誌オンライン版2014年10月30日号の掲載報告。

 対象は、メディケア加入した非弁膜症性心房細動患者で、ワルファリンあるいはダビガトランを新規に投与した65歳以上の13万4,414人で、2010年10月から2012年12月に試験登録された。その中から、傾向スコアを合致させたコホート3万7,587人を追跡した。ダビガトラン群は1万8,205人年、ワルファリン群は1万9,382人年であった。
 主要評価項目は、虚血性脳卒中、頭蓋内および消化管の大出血、急性心筋梗塞の発症。副次的評価項目は、入院を要する出血、死亡率だった。

 主な結果は以下の通り。

・2,715の主要評価項目のイベントが発生した(虚血性脳卒中475例、大出血合併症1,628例、急性心筋梗塞612例)。

以下、ワルファリンと比較し、

・虚血性脳卒中の発症はダビガトランで有意に低かった(HR 0.80、95% CI 0.67~0.96、p=0.02)。

・大出血の包括発現率は差がなかった(HR 0.97、95%CI 0.88~1.07、p=0.50)。

・消化管出血の発現率は有意にダビガトランで高かった(HR 1.28、95% CI 1.14~1.44、p<0.001)。

・頭蓋内出血の発現率はダビガトランで有意に低かった(HR 0.34、95%CI 0.26~0.46、p<0.001)。

・死亡率はダビガトランで有意に低かった(HR 0.86、95%CI 0.77~0.96、p=0.006)。

・急性心筋梗塞の発症率は差がなかった(HR 0.92、95%CI 0.78~1.08、p=0.29)。

 ちなみに、ダビガトラン150mg/日投与のサブグループでは、頭蓋内出血以外が有意な減少以外に差は認められなかった。

 この研究では、高齢の非弁膜症性心房細動患者において、ワルファリンと比べダビガトランでは、虚血性脳卒中および頭蓋内出血リスクを有意に抑制、一方、消化管の大出血リスクの有意な上昇が認められた。この研究で示されたリスクの傾向と大きさは、前述の大規模試験RE-LY trialと同様であった。

(ケアネット 細田 雅之)