抗精神病薬の皮質線条体系への影響を検証

提供元:ケアネット

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公開日:2014/11/21

 

 統合失調症初回エピソード患者における、第二世代抗精神病薬による治療と大脳にある線条体の機能的結合性との関連について、米国・ジャッカー・ヒルサイド病院のDeepak K. Sarpal氏らが検討を行った。その結果、治療による精神症状改善に伴い、前頭葉部位との機能的結合性が増大する正の関連性や、頭頂葉内での機能的結合性が低下するといった負の関連性を明らかにした。JAMA Psychiatry誌オンライン版2014年11月5日号の掲載報告。

 研究グループは、前向き無作為化試験の手法にて、統合失調症の初回エピソード患者24例と健常対照(年齢、性別、教育、利き手で適合)24例を対象に検討を行った。治療薬(リスペリドンまたはアリピプラゾール)は二重盲検無作為化の手法を用いて投与した。患者群について、ベースライン時と治療12週間投与後に画像検査を行い、また症状について、簡易精神症状評価尺度(BPRS)を用いた評価が行われた。健常対照群には、12週間間隔で2回の画像検査が行われた。主要評価項目は、機能的MRIで評価した線条体の機能的結合性で、その変化についてBPRS評価の低下と比較し検討した。

 主な結果は以下のとおり。

・患者群24例は、画像検査前に抗精神病薬治療を中央値1日(平均4.5[SD 6.1]日)受けていた。
・患者群のうち11例がアリピプラゾールを、13例がリスペリドンによる治療を受けた。
・症状の改善に伴い、線条体と前帯状束、背外側前頭前皮質、また海馬や前島などの辺縁系部位との機能的結合性の増大が観察された(多重比較調整後p<0.05)。
・一方で、負の関連性として、精神症状の改善に伴い、頭頂葉内での線条体の機能的結合性の低下が観察された(多重比較調整後p<0.05)。
・以上のように、精神疾患における皮質線条体系の機能的結合性の異常は、症状依存性であることが示された。

 結果を踏まえて、著者らは「前頭葉前部や辺縁系部位との、線条体の機能的結合性の増大は、抗精神病薬治療に関連した症状改善のバイオマーカーとなりうる」とまとめている。

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(ケアネット)