日本人の糖尿病患者は、男性よりも女性のほうが有害な心血管代謝プロファイルを示すことが、兵庫医科大学の若林 一郎氏による研究で明らかになった。日本の糖尿病女性は、男性よりも腹部肥満、高脈圧、高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症、メタボリックシンドロームの有病率が高いという。Journal of women's health誌オンライン版2014年11月14日号の報告。
糖尿病患者の心血管疾患リスクの性差に関する研究は、主に欧米で行われており、日本人を含むアジア人を対象とした報告は限られている。
そのため、本研究では、日本の地域住民の健康診断データベースから糖尿病患者1,707例を抽出して横断研究を行い、心血管代謝リスク因子を男女で比較した。
男性1,138例、女性569例で男女比を2:1とし、年齢を一致させて検討を行った(男女とも53.8±7.4歳)。
主な結果は以下のとおり。
・女性のウエスト・身長比は男性と比較し、有意に高かった。
・BMIは男女で有意な差を認めなかった。
・女性の拡張期血圧は、男性と比較し、有意に低かった。
・女性の脈圧は、男性と比較し、有意に高かった。
・収縮期血圧は、男女で有意な差を認めなかった。
・女性のLDLコレステロールは、男性と比較し、有意に高かった。
・女性のトリグリセリド(対数変換)は、男性と比較し、有意に低かった。
・女性の脂肪蓄積量(対数変換)は、男性と比較し、有意に高かった。
・女性の腹部肥満のオッズ比は2.00 であった(vs 男性、95%CI: 1.48~2.69)。
・女性の高脈圧のオッズ比は1.48であった(vs 男性、95%CI: 1.15~1.91)。
・女性の高LDLコレステロール血症のオッズ比は、1.48であった(vs 男性、95%CI: 1.13~1.92)。
・女性の低HDLコレステロール血症のオッズ比は、1.77であった(vs 男性、95% CI: 1.32~2.37)。
・女性のメタボリックシンドローム(IDF基準)のオッズ比は、1.68であった(vs 男性、95%CI: 1.28~2.21)。
(ケアネット 武田 真貴子)