疼痛を伴うMSにデュロキセチンが有効

提供元:ケアネット

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公開日:2014/11/26

 

 米国・コロラド大学ヘルスサイエンスセンターのTimothy L. Vollmer氏らは、神経障害性疼痛をしばしば有する多発性硬化症(NP-MS)患者における疼痛処置としてのデュロキセチン(商品名:サインバルタ)の有効性と忍容性を評価する無作為化二重盲検試験を行った。その結果、NP-MS患者に対してデュロキセチンは有効であることを報告した。安全性プロファイルも他の患者集団で報告されたものと一致していた。NP-MS患者へのデュロキセチン治療は適応承認されていない。Pain Practice誌2014年11月号の掲載報告。

 検討は、239例のNP-MS患者を対象に行われた。まず、被験者を、デュロキセチン60mg/日投与群またはプラセボを投与する群に無作為に割り付け、1日1回投与の6週間にわたる急性期治療フェーズの検討を行った(デュロキセチン投与群は30mgを1週間、60mgを5週間投与された)。その後、12週間の非盲検延長フェーズ(デュロキセチン30~120mg/日投与)の検討を行った。

 被験者は、無作為化以前に、MSを有して1年以上、1日の平均疼痛(API)評価スコアが4以上の日が7日間のうち4日以上あった。なお患者の毎日のAPI評価は、電子日記において11ポイント制(0[疼痛なし]~10[最大級の痛み])で行われた。

 主要有効性評価は週ごとのAPI評価の変化で、ミックスモデル反復測定分析により分析が行われた。治療完了や治療中断理由、治療関連有害事象の発生は、Fisher's 正確確率検定で比較した。

 主な結果は以下のとおり。

・デュロキセチン群は118例、プラセボ群は121例であった。
・6週時点で、デュロキセチン群の患者はプラセボ群の患者と比較して、API評価における統計的改善が有意に大きかった(-1.83 vs. -1.07、p=0.001)。
・治療完了について、群間で有意な差は認められなかった。
・有害事象による中断は、デュロキセチン群がプラセボ群よりも統計的に有意に多かった(13.6% vs. 4.1%、p=0.012)。
・食欲減退の報告頻度が、デュロキセチン治療患者で有意に高かった(5.9% vs. 0%、p=0.007)。

(ケアネット)