難治性うつ病におけるドパミンの役割は 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2014/12/16 これまでの検討で、ドパミン作用神経伝達異常が示唆される難治性うつ病患者において、ドパミンアゴニスト服用によるうつ症状の改善が報告されている。オランダ・アムステルダム大学医療センターのBart P. de Kwaasteniet氏らは、これまで行われていなかった難治性うつ病患者における、ドパミンD2/3受容体との結合を介したドパミン神経シグナル伝達の役割を明らかにするため、線条体内ドパミンD2/3受容体(D2/3R)のアベイラビリティを評価する検討を行った。PLoS One誌オンライン版2014年11月20日号の掲載報告。 本研究では、[123I]IBZMのSPECT画像診断法を用いて、難治性うつ病(TRD)患者における線条体内D2/3Rの結合を調べた。対象は、重篤なTRD患者6例、抗精神病薬投与中の重篤なTRD AP患者11例(TRD AP群)、マッチさせた健常コントロール15例であった。 主な結果は以下のとおり。 ・TRD患者と健常コントロールの間で、線条体内D2/3Rのアベイラビリティに有意差は認められなかった(p= 0.75)。 ・TRD AP群におけるD2/3Rのアベイラビリティは、TRD患者および健常コントロールに比べ有意に低かった(p<0.001)。この結果は、抗精神病薬によるD2/3Rsの占有を反映しているものと思われた。 ・一方で、TRD AP群とTRD患者の間に、臨床症状の差はみられなかった。 ・今回の予備調査において、重篤なTRD患者においては、D2/3アベイラビリティが大きく異なるというエビデンスは示されず、TRDサブグループがドパミン伝達の変化により特徴づけられないことが示唆された。 ・すなわち、その強力なD2/3Rs占有にもかかわらず依然としてうつが持続している重篤なTRD患者について、非定型抗精神病薬を用いることは臨床的ベネフィットがないように思われた。 関連医療ニュース ケタミンは難治性うつ病に使えるのか 難治性うつ病に対する効果的な治療は何か 治療抵抗性うつ病に対し抗精神病薬をどう使う 担当者へのご意見箱はこちら (ケアネット) 原著論文はこちら de Kwaasteniet BP, et al. PLoS One. 2014; 9: e113612. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 新PCIデバイスbioadaptor、アウトカム改善の可能性/Lancet(2024/11/13) 市中肺炎の入院患者、経口抗菌薬単独での有効性(2024/11/13) 本邦初、がん患者の「気持ちのつらさ」のガイドライン/日本肺癌学会(2024/11/13) 乾癬への生物学的製剤、真菌感染症のリスクは?(2024/11/13) MCIの認知機能改善に、最適な運動とその量は?~ネットワークメタ解析(2024/11/13) 尿路上皮がん1次治療の更新は30年ぶり、ペムブロリズマブ+EV併用療法とは/MSD(2024/11/13) 米国成人の10人に6人は炎症誘発性の食生活(2024/11/13) 急性白血病の発症時点でさまざまな眼科所見が観察される(2024/11/13) [ あわせて読みたい ] 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20)