日本の医療保険制度下での大規模な疫学研究により、日々の飲酒量が多いと医療費および入院の可能性が増加することがわかった。金沢医科大学公衆衛生学の中村 幸志氏らが、Alcohol and Alcoholism誌オンライン版2014年12月17日号で報告した。
この研究の参加者は、医療保険の被保険者で、毎日飲酒する習慣を持つ40~69歳の9万4,307人の男性。1日当たりの飲酒量について2杯未満、2~3.9杯、4~5.9杯、6杯以上の4群に分け、開始から1年間に高額医療費(医療費分布の90パーセンタイル以上と定義)が生じる可能性とその年に入院する可能性を比較した。
主な結果は以下のとおり。
・1年間の医療費が上位10%までの参加者において、1人当たり少なくとも2,152ユーロ/年の医療費が生じた。
・医療費上位10%で、本コホートの総医療費の61.1%を占めていた。
・医療費上位10%の参加者において、1日2杯(アルコール23g)未満の群と比べたオッズ比(95%信頼区間)は、年齢、BMI、喫煙、運動習慣での調整後、2~3.9杯/日の群で1.08(1.02~1.15)、4~5.9杯/日の群で1.11(1.05~1.19)、6杯/日の群で1.31(1.18~1.45)であった。
・入院における調整オッズ比は、それぞれ、1.11(1.04~1.19)、1.14(1.06~1.24)、1.39(1.24~1.56)であった。
(ケアネット 金沢 浩子)