画像診断から統合失調症の理解を深める:高知大

提供元:ケアネット

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公開日:2015/03/03

 

 海馬のサブフィールドを特定する画像診断戦略は、統合失調症の症状と構造的異常を結び付けたり、疾患初期の進行について理解を深めるのに有益な情報を提供しうることが、明らかにされた。統合失調症における海馬容量の低下は、再現性に優れる知見である。また、新たな画像診断技術の開発により、海馬サブフィールド容量の描出が可能となり、被験者の大半が慢性期統合失調症患者であった試験において、疾患感受性や臨床的特性との関連がサブフィールド間で異なることが示されていた。そこで高知大学の河野 充彦氏らは、初回エピソード、亜慢性期および慢性期の統合失調症患者を対象に、多様な海馬サブフィールドの評価を画像診断戦略で行う断面および追跡研究を行った。PLos One誌2015年2月6日号の掲載報告。

 検討は統合失調症患者34例と健康対照15例の海馬サブフィールド容量を測定して行われた。患者群の内訳は、初回エピソード患者19例、亜慢性期6例、慢性期9例であった。初回エピソード患者10例と健康対照12例が、6ヵ月後に再度の画像診断を受けた。

 主な結果は以下のとおり。

・左側海馬の総量は、健康対照との比較において、亜慢性期患者(p=0.04、効果サイズ1.12)、慢性期患者(p=0.009、効果サイズ1.42)で有意に低量であった。
・慢性期患者のCA2-3サブフィールド量が、健康対照と比較して有意に低量であった(p=0.009、効果サイズ1.42)。
・CA4-DG量は、健康対照と比較して3つの患者群すべてにおいて有意に低量であった(すべてのp<0.005)。
・2つの影響を受けたサブフィールド量は、陰性症状の重症度と逆相関の関連が認められた(p<0.05)。
・左側CA4-DG量は、疾患初期の6ヵ月間において、わずかだが統計的に有意な低下が認められた(p=0.01)。

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(ケアネット)