パーキンソン病はスマホで検出可能

提供元:ケアネット

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公開日:2015/04/23

 

 パーキンソン病は専門医による診断が不可欠であるが、これまで専門医の診断をサポートする遠隔非侵襲的客観テストはほとんどなかった。そこで英国・アストン大学のS Arora氏らは、スマートフォンを用いたパーキンソン病診断の有用性についてパイロットスタディを行った。その結果、スマートフォンを用いてパーキンソン病の症状を評価することは可能であり、診断サポートツールとして潜在的な価値があることがわかった。Parkinsonism & Related Disorders誌オンライン版2015年3月7日号の掲載報告。

 本試験の対象者は、パーキンソン病患者10例と対照群10例。被験者は統一パーキンソン病評価尺度(UPDRS)を含めたベースライン評価をクリニックで行い、声・姿勢・歩行・指タッピング・反応時間を測定するためのスマートフォンアプリが入ったアンドロイド携帯を支給された。

 被験者はスマートフォンを自宅に持ち帰り、1日4回5つのタスクを1ヵ月間実施した。
試験期間中、週に1回パーキンソン病の専門医による遠隔医療が行われ、固縮とバランス評価を除いたUPDRSが評価された。5つのタスクの記録について統計的分析を行い、1)パーキンソン病の有無が判別可能か、2)UPDRSの運動領域の変化を予測できるか、を検討した。

 主な結果は以下のとおり。

・20例の参加者は試験期間中(平均34.4日)、自宅や地域で1日平均2.7回テストを行った(遵守率68.9%)。
・5つのタスクの解析結果は、パーキンソン病患者と対照群とで異なっていた。
・パーキンソン病の検出感度は96.2%(標準偏差[SD]:2%)、特異度は96.9%(SD:1.9%)であった。
・UPDRS(範囲:11~34)の運動領域の変化予測における平均誤差は1.26(SD:0.16)であった。

(ケアネット 有田 衣里)