磁気共鳴画像(MRI)は、多発性骨髄腫(MM)における限局性骨髄病変(FSD)検出において最も感度の高い検査である。しかし、脊柱全体のMRI(WS-MRI)をMM診断におけるスクリーニングテストとして使用すべきかどうかは、明らかになっていない。オーストラリア・ジェームズクック大学のJoel Wight氏らは、MM診断におけるMS-MRIの有用性を明らかにするために調査を行った。その結果、くすぶり型骨髄腫を持つ患者には有用である可能性が示唆された。Internal Medicine Journal誌オンライン版2015年4月14日号の掲載報告。
2008年1月~2013年1月にThe Townsville Hospitalで収集したデータをレトロスペクティブに解析した。同施設において、WS-MRIは新規MMの診断目的で日常的に使用されている。FSDの臨床的予測因子を定め、ガイドラインによるWS-MRIの適応に該当する患者とそうでない患者の調査結果を比較した。
主な調査結果は以下のとおり。
・71症例が本分析の対象となった。
・WS-MRIの適応に該当する患者は44例(62%)であった。
・FSDの最も強力な予測因子は、背部痛(p<0.001)と脊椎圧迫骨折(p=0.003)であった。
[ガイドラインによるWS-MRI検査の適応患者群]
・該当患者44例のうち、33例(75%)がFSDを有していた。
・このうち17例は早急な処置が必要であり、13例に形質細胞腫があった。
[ガイドラインによるWS-MRI検査の適応でない患者群]
・該当患者27例のうち4例(15%)にFSDが見つかったが、いずれも早急な治療介入は必要なく、形質細胞腫も見られなかった。
・8例のくすぶり型骨髄腫の患者のうち、3例がWS-MRI検査により症候性骨髄腫に再分類された。
ガイドラインでWS-MRI検査の適応とされていない患者では、WS-MRIにより治療が早急に必要な脊髄疾患を発見できなかった。しかし、WS-MRIは、くすぶり型骨髄腫の患者において、単純撮影で病巣がみられない場合には有益であり、治療につながる可能性が示唆された。
(ケアネット 中野敬子)