アトピー性皮膚炎は皮膚リンパ腫のリスク因子?

提供元:ケアネット

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公開日:2015/06/16

 

 アトピー性皮膚炎(AD)患者におけるリンパ腫のリスク増加について議論となっている。フランス・ポール サバティエ大学のLaureline Legendre氏らは、AD患者のリンパ腫リスクと局所治療の影響を検討する目的でシステマティックレビューを行い、AD患者ではリンパ腫のリスクがわずかに増加していることを明らかにした。ADの重症度が有意なリスク因子であった。この結果について著者は「重度ADと皮膚T細胞性リンパ腫の混同がリンパ腫リスクの増加の一因となっている可能性がある」と指摘したうえで、「局所ステロイド薬および局所カルシニューリン阻害薬が重大な影響を及ぼすことはなさそうだ」とまとめている。Journal of the American Academy of Dermatology誌2015年6月号(オンライン版2015年4月1日号)の掲載報告。

 研究グループは、症例対照研究とコホート研究について、系統的な文献検索とメタ解析を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・検索で得られた論文3,979本中、基準を満たした24本が本レビューに組み込まれた。
・コホート研究では、リンパ腫のリスクがわずかに増加していた(相対リスク:1.43、95%信頼区間[CI]:1.12~1.81)。
・症例対照研究では、リンパ腫の有意なリスク増加はみられなかった(オッズ比:1.18、95%CI:0.94~1.47)。
・ADの重症度は、リンパ腫の有意なリスク因子であった。
・非常に強力な局所ステロイド薬は、リンパ腫のリスク増加と関連していた。
・局所カルシニューリン阻害薬については、1論文でタクロリムスと皮膚リンパ腫との有意な関連が報告された。

(ケアネット)