ドイツで行われた先行調査において、無作為抽出された4,000例のうち、回答があった948例中68例(7.2%)がワイン不耐症あるいは飲酒後のアレルギー様症状発現を報告したことが判明している。この報告を踏まえてドイツ・マインツ大学のNadine Jaeckels氏らは、ワインの製造過程で含まれる他の成分や清澄剤ではなく、ワイン不耐症の間接原因としてブドウ由来のタンパク質に対するIgEに焦点を当て、ワインタンパク質への感作をアレルギー検査などで確認できるかを検討した。その結果、ブドウおよびワインタンパク質に対する感作が観察され、交差反応性炭水化物抗原決定基(CCD)の関与も示唆された。著者は「今後、さらに大きなコホートで検討する必要がある」とまとめている。Clinical and Translational Allergy誌2015年6月22日号の掲載報告。
本検討はパイロットスタディであった。自己申告によるワイン不耐症者19例と非不耐症者10例(対照群)が参加した。
さまざまなブドウおよびブドウ製品を用いて皮膚プリックテストを行い、ImmunoCAPを用いてアレルゲン特異的IgE抗体を測定し、細胞抗原刺激試験(CAST)を行うとともに、各種タンパク質に対するIgE抗体の反応性をImmunoBlot法で調べた。
主な結果は以下のとおり。
・7例(うち1例は対照群)が、ワインまたはブドウ抽出物に対するIgE感作が認められた。
・不耐症者の1例は、皮膚プリックテスト陽性(赤ブドウ)、ImmunoCAP陽性(ブドウ)、CAST陽性およびImmunoBlot陽性(モモ、赤ブドウ、白ブドウおよびワインタンパク質)を示した。
・さらに、この参加者の血清にCCD阻害薬をあらかじめ添加した後にImmunoBlotを行うと、ブドウタンパク質に対する反応が完全に消失した。
(ケアネット)