肺がん左上葉切除術は脳梗塞の危険因子か

提供元:ケアネット

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公開日:2015/08/20

 

 脳梗塞は肺切除術後のまれな合併症であるが、重度の後遺症をもたらしうる。千葉大学の山本 高義氏らが、肺がん術後に脳梗塞を発症した患者の特徴を検討したところ、脳梗塞が左上葉切除を受ける肺がん患者で高頻度に発症しており、左上肺静脈断端における血栓症がその原因となっている可能性が示唆された。Surgery Today誌オンライン版2015年8月14日号に掲載。

 著者らは、自施設で2008年1月~2013年10月に葉切除以上を受けたすべての肺がん患者562例を後方視的に検討し、術後30日以内に脳梗塞を発症した患者としなかった患者を比較した。

 主な結果は以下のとおり。

・全562例のうち、男性5例と女性1例が脳梗塞を発症していた[平均66歳(55~72歳)、術後平均3.3日(1~9日)に発症]。
・5例は左上葉切除が、1例は左下葉切除が施行された。
・術後脳梗塞発症例6例と非発症例556例の間で、年齢、性別、BMI、喫煙指数、手術時間に有意差は認めなかったが、術式のみ左上葉切除術の割合が発症例で有意に高かった(p<0.001)。
・術後脳梗塞例において、左上肺静脈断端に造影CTにて血栓が認められた。

(ケアネット 金沢 浩子)