精神疾患の診断、過去の診断名が大きく影響 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2015/09/03 精神医学において診断はユビキタスであり、ベネフィットをもたらす一方で、ラベリング効果の弊害となりうる。英国・キングストン大学のDanny C.K. Lam氏らは、境界性パーソナリティ障害(BPD)併存の診断という不適切な提示がパニック症患者に対する臨床医の判断に影響を及ぼすかどうかを評価した。その結果、診断がもたらす保険数理的価値にかかわらず、現在も問題が併存しているように見える状況下では、臨床医は過去の診断名に大きく影響されることを明らかにした。著者らは、「したがって臨床医は、患者の記述に診断ラベルを使用すること、および過去の診断名が今もなお妥当であるかを確かめることに注意すべきだ。そうしたラベルが自身の臨床診断に影響しうることを忘れず、絶えず診断名に疑問を持つよう努めるべきである」とまとめている。British Journal of Clinical Psychology誌オンライン版2015年7月25日号の掲載報告。 研究グループは、与えられた情報の内容によって臨床医の判断がどのように影響されるかを評価する実験的研究を行った。臨床医265人に対して、1人の女性が単純性の“パニック症”の経験を述べているビデオを見せ、その後、彼女の現在の問題と起こりうる予後を評価してもらった。ビデオを見せる前に臨床医には彼女の情報を書面で与えた。その際、与える情報によって臨床医を3群に無作為に割り付けた。(1)個人データおよび一般的背景の情報のみ、(2)(1)の内容+BPDと一致する行動記述、(3)(2)の内容+診断名(BPDの既往歴)。 主な結果は以下のとおり。 ・BPDの診断名は、情報のみまたはBPD“症状”の行動記述よりも、患者の問題や予後に関するネガティブな評価と関係していた。 ・診断名は、治療への取り組みや反応といった治療変数のみならず、リスク問題や対人関係の有効性に関する医師の判断に、不適切かつネガティブな影響を与える可能性があった。 関連医療ニュース 統合失調症の正確な早期診断のためには うつ病診断は、DSM-5+リスク因子で精度向上 境界性パーソナリティ障害、予防のポイントは 担当者へのご意見箱はこちら (ケアネット) 原著論文はこちら Lam DC, et al. Br J Clin Psychol. 2015 Jul 25. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 脳出血既往AFに対する脳梗塞予防、DOACは有用か?/Lancet(2025/03/07) GLP-1受容体作動薬、自殺リスクと関連せず/BMJ(2025/03/07) 活動性ループス腎炎に対する新しいタイプの抗CD20抗体の治療効果(解説:浦信行氏)(2025/03/07) 抗PD-L1抗体薬、GLP-1薬などに重大な副作用追加/厚労省(2025/03/07) 新規作用機序の潰瘍性大腸炎治療薬オザニモド、その特徴は?/BMS(2025/03/07) 治療抵抗性強迫症に対するSSRI+ブレクスピプラゾールの有用性(2025/03/07) 硬膜外ステロイド注射は慢性腰痛に効果あり?(2025/03/07) 日本人の4人に1人がコロナ陰謀論を信じている!?(2025/03/07) [ あわせて読みたい ] 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24)