日本の中年女性において、アルコール摂取量と血糖状態は肥満症とは無関係に逆相関を示すことが、兵庫医科大学の下村 智子氏らによる研究で明らかになった。日本の中年女性は、飲酒することで心血管疾患の既知のリスク低下につながる可能性がある。Canadian journal of diabetes care誌オンライン版2015年8月12日号の報告。
最近の研究で、習慣飲酒は糖尿病のリスクを軽減することが示されている。しかし、アルコールと糖尿病の関係が肥満症の影響を受けるかどうかについては、いまだ明らかにされていない。本研究では、女性のアルコール摂取が血糖状態に影響を及ぼすのかについて検討した。
対象は、健康診断を受けた35~60歳の日本人女性1万8,352人。対象を、飲酒しない群、ときどき飲む群、毎日軽く飲む群(エタノール 22g以下/日)、毎日大量に飲む群(エタノール22g以上/日)の4群に分けて検討した。アルコール消費量とHbA1c値の関連は、年齢、喫煙歴、運動習慣で調整後、共分散およびロジスティック回帰分析を用いて検討した。
主な結果は以下のとおり。
・HbA1c値は、飲酒しない群と比べて、ときどき飲む群、毎日軽く飲む群、毎日大量に飲む群で有意に低かった。
・これらの逆相関は、肥満状態(BMI、ウエスト身長比)によって変化しなかった。
・飲酒しない群に対する高血糖のオッズ比は、ときどき飲む群で0.82 [95%CI:0.73~0.92]と1.00の基準値よりも有意に低かった(p<0.01)。毎日軽く飲む群のオッズ比は0.61 [95%CI:0.44~0.85]、毎日大量に飲む群は0.66 [95%CI:0.50~0.88]であった。
・以上のことから、35~60歳の日本人女性において、アルコール摂取は肥満状態と独立しており、アルコール摂取量と血糖状態は逆相関を示すことが示唆された。
(ケアネット 武田 真貴子)