看護師と認知症患者との効果的なコミュニケーションにより、患者ニーズの理解が促進し、コミュニケーションのミスに関連した患者または看護師におけるフラストレーションが軽減するため、患者ケアの質が高まる。台湾・国立成功大学のHui-Chen Chao氏らは、最新の革新的インターネットベースコミュニケーション教育(AIICE)プログラムが、認知症患者に対する看護師のコミュニケーションスキルおよび認知症患者の記憶・行動関連の症状およびうつ症状に及ぼす影響を検討した。その結果、AIICEプログラムは看護師のコミュニケーション知識、患者とのコミュニケーション能力評価の頻度、コミュニケーション実行能力を向上させ、患者の記憶・行動関連の問題およびうつ症状を軽減させることが示された。著者らは、「AIICEプログラムを用いた看護師の継続的なコミュニケーション訓練が推奨される」と述べている。Journal of Nursing Research誌オンライン版2015年9月14日号の掲載報告。
研究グループは、認知症患者ケアにおける看護師のコミュニケーション知識、態度、患者とのコミュニケーション能力評価の頻度、そしてコミュニケーション実行能力に対する、最新の革新的インターネットベースコミュニケーション教育(AIICE)プログラムの効果を評価した。さらに、認知症患者の記憶・行動関連の問題およびうつ症状などのアウトカムに対する本プログラムの間接的な効果についても評価した。1つのグループを反復測定する準実験的リサーチ法を実施。南台湾にある複数の長期ケア施設から便宜的抽出法を用いて看護師をサンプリングし、一般的な推定式を用いてデータを分析し、ベースライン時、試験4週間後、試験16週間後の3つの時点にわたる経時的変化を比較した。看護師105人がALICEプログラムと試験後の調査を完了した。
主な結果は以下のとおり。
・看護師のコミュニケーション知識、患者コミュニケーション能力評価の頻度、コミュニケーション実行能力は、ベースラインと比較し試験4週間後または16週間後に有意な改善が認められた(p<0.01)。
・しかし、コミュニケーション態度については有意な改善を認めなかった(p=0.40)。
・さらに、患者の記憶・行動関連の問題およびうつ症状は、試験16週間後に有意に軽減した(p=0.05)。
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