抗精神病薬の血漿中濃度とEPS発現 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2016/05/31 抗精神病薬は、錐体外路系副作用(EPS)など、さまざまな望ましくない運動反応を誘発することがある。広く認識されているEPSの根底にある薬理学的メカニズムとして、線条体のD2受容体占有率がある。しかし、EPSの薬物動態の背景についてはわかっていない。ドイツ・アーヘン工科大学のGeorgios Schoretsanitis氏らは、リスペリドン(RIS)を処方され、EPSのためにビペリデンを用いた患者の薬物動態パターンをin vivoで分析した。International clinical psychopharmacology誌オンライン版2016年5月10日号の報告。 大規模治療薬物モニタリングデータベースより、成人入院外来患者2,293例のRISおよび代謝物9-ヒドロキシリスペリドン(9-OH-RIS)の血漿濃度を分析した。RIS単独群772例とビペリデン併用群68例の比較を行った。血漿濃度、RISおよび9-OH-RISの用量調節血漿濃度(C/D)、と活性部分(AM)[RIS+9-OH-RIS]、同様に濃度比(9-OH-RIS/RIS)を算出した。EPSの間接的な報告とし、ビペリデン処方を考慮した2群間の異なる化合物の血漿中濃度比を比較した。 主な結果は以下のとおり。 ・RISの1日投与量に2群間で差はなかった。 ・血漿濃度およびRIS、代謝物のC/Dは、2群間で差は認められなかった。 ・しかし、AMの血漿中濃度は、ビペリデン併用群で有意に高く(p=0.032)、活性代謝物の9-OH-RISにおいて、高い傾向が示された(p=0.053)。 ・EPS治療のためにビペリデンを投与した患者において、リスペリドンのAM血漿中濃度を高めることが示唆された。 ・AMの高い血漿中濃度と治療が必要なEPSとの関連性が認められた。 関連医療ニュース 統合失調症患者のEPSと認知機能の関連は 統合失調症患者の副作用認識状況は:さわ病院 抗精神病薬の併用療法、有害事象を解析 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Schoretsanitis G, et al. Int Clin Psychopharmacol. 2016 May 10. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 各種抗精神病薬のEPS発現を副作用データベースから分析 医療一般 日本発エビデンス(2017/01/26) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 妊娠前/妊娠初期のGLP-1作動薬中止、妊娠転帰と体重変化は?/JAMA(2025/12/19) 血友病Bに対する遺伝子治療、第III相試験の最終解析/NEJM(2025/12/19) メチシリン感性黄色ブドウ球菌菌血症に対するクロキサシリンとセファゾリンの比較(CloCeBa試験)(解説:寺田教彦氏)(2025/12/19) 『肝細胞癌診療ガイドライン』改訂――エビデンス重視の作成方針、コーヒー・飲酒やMASLD予防のスタチン投与に関する推奨も(2025/12/19) ER+低リスクDCIS、手術せず内分泌療法単独での有用性を検証(LORETTA)/SABCS2025(2025/12/19) 肺がん治療における経済的視点/治療医に求められる役割(2025/12/19) スタチン使用は本当にうつ病リスクを低下させるのか?(2025/12/19) 危険なOTCが国内流通か、海外での規制や死亡例は(2025/12/19) 「TAVI弁展開後における弁尖可動不良事象に関するステートメント」公表/THT協議会(2025/12/19) [ あわせて読みたい ] Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20) シネマセラピー ~シネマにみるメンタルヘルス~(2013/04/26)