網膜症は、糖尿病の有無に関係なく死亡率増加の予測因子

提供元:ケアネット

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公開日:2016/07/20

 

 網膜症は死亡率と関連していることが示唆されているが、その理由はよくわかっていない。米国国立衛生研究所(NIH)のDiana E. Fisher氏らは、併存疾患を有している高齢者の死亡率に対し網膜症がどのように影響するのか、前向きコホート研究のデータを解析し調べた。結果、網膜症は軽微であっても、高齢者、とくに男性で、糖尿病の状態に関係なく死亡率増加の有意な予測因子であったという。著者は、「網膜症を有するということは、健康状態の綿密な臨床的管理を必要とする根拠となりうる」と指摘している。Ophthalmology誌2016年7月号(オンライン版2016年4月7日号)の掲載報告。

 研究グループは、アイスランドの地域住民を対象とした無作為抽出コホート「AGES Reykjavik Study」から、67~96歳の4,966例(男性が43.2%)について、全死因死亡および心血管疾患(CVD)による死亡と健康状態との関連を調査した。

 網膜症は、Early Treatment Diabetic Retinopathy Studyのプロトコルを取り入れたmodified Airlie House を用い、デジタル眼底写真で評価した(2002~06年)。死亡率は、2013年9月(死因別の死亡は2009年)まで調査した。

 主要評価項目は、全死因死亡およびCVDによる死亡とした。

 主な結果は以下のとおり。

・4,966例中、ベースラインにおいて503例(10.1%)は糖尿病、614例(12.4%)は網膜症を有していた。このうち、136例(2.7%)は糖尿病と網膜症の両方を有していた。
・追跡期間中央値8.6年で、1,763例が死亡した。うち276例(45.0%)は網膜症患者、1,487例(34.2%)は非網膜症患者で、それぞれ糖尿病を有していたのは76例、162例であった。
・CVDによる死亡例は2009年までで366例であった。うち72例(ベースラインで網膜症を有していた人の11.7%)は網膜症を有しており、294例(ベースラインで網膜症を有していない人の6.8%)は有していなかった。
・多変量解析の結果、網膜症は全死因死亡(ハザード比[HR]:1.26、95%信頼区間[CI]:1.10~1.43、p<0.01)およびCVD関連死亡(HR:1.57、95%CI:1.20~2.06、p<0.01)と有意に関連していた。
・この関連は、男性でより顕著であった(全死因死亡HR:1.33、95%CI:1.11~1.60、CVD関連死HR:1.81、95%CI:1.25~2.63)。
・死亡リスクは、微量アルブミン尿症と網膜症の両方を有する人で高く(全死因死亡HR:1.70、95%CI:1.03~2.23、CVD関連死HR:2.04、95%CI:1.27~3.28)、また、網膜症、微量アルブミン尿症および糖尿病を有しているとさらに高まった(全死因死亡HR:2.01、95%CI:1.22~3.31、CVD関連死HR:5.24、95%CI:1.91~14.42)。
・臨床的な脳卒中の既往歴は、網膜症を有する人々の間で心血管関連死のリスクを高めた(HR:3.30、95%CI:2.05~5.32)。網膜症と糖尿病を合併しているとリスクはさらに高まった(HR:5.38、95%CI:1.80~16.06)。

(ケアネット)