認知症の世界的トレンドはどうなっているか 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2016/08/31 今後の認知症拡大に関する予測では、年齢特異的および性特異的有病率に経時的な変化はなく、予測される認知症者増加を推進するのは高齢化のみと仮定されている。しかし、この仮定の根拠は疑わしく、傾向変動(長期における有病率の緩やかな減少または増加)は妥当であると考えられる。英国・ロンドン大学精神医学研究所のMartin Prince氏らは、認知症の有病率や発症率に関する世界的な傾向を分析した。Alzheimer's research & therapy誌2016年7月30日号の報告。 1980年以降の認知症の有病率、発症率、死亡率に関する追跡研究のシステマティックレビューを行った。 主な結果は以下のとおり。 ・認知症の有病率追跡研究9件、発症率追跡研究8件、死亡率追跡研究4件が抽出された。 ・認知症の発症率について、高所得国における減少を示唆する幾つかの一貫したエビデンスが認められた。 ・認知症の有病率を追跡したエビデンスは、研究間で矛盾しており、明確な全体的影響は示されなかった。 ・死亡率の傾向についての研究はほとんどなかったが、発症率の減少は認知症者の生存期間延長によって均衡がとれている可能性がある。 ・東アジアでの有病率増加を示唆するエビデンスがあり、これは診断基準の経時的変化が一因となっている可能性があるが、心血管リスク因子プロファイルの悪化と一致している。 結果を踏まえ、著者らは「現在仮定される経時的な認知症の年齢別発症率における一定の傾向を裏付けるエビデンスは得られなかったが、認知症拡大の将来的規模など、幾つかの不確定要素が残存する。高齢化は最も大きな要因であり、政策立案者は、現在の有病率予測に基づき、将来のサービス提供を計画する必要がある。追加すべき優先順位として、脳の健康増進、認知症予防プログラム、これら対策の有効性をグラフ化し今後の経過を監視することに注力する必要がある」としている。 関連医療ニュース 長生きしても認知症にならないためにできること 主観年齢が高いと認知症になりやすい 認知症治療、薬物療法にどの程度期待してよいのか (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Prince M, et al. Alzheimers Res Ther. 2016;8:23. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 冠動脈疾患へのPCI、FFRガイド下vs.IVUSガイド下/Lancet(2025/04/18) 症候性発作性AFのアブレーション、パルスフィールドvs.クライオバルーン/NEJM(2025/04/18) iPS細胞移植、パーキンソン病患者の脳内でドパミン産生を確認/京大(2025/04/18) カピバセルチブ使用時の高血糖・糖尿病ケトアシドーシス発現についての注意喚起/日本糖尿病学会(2025/04/18) 非専門医による診療機会を考慮、成人先天性心疾患診療ガイドライン改訂/日本循環器学会(2025/04/18) 通院費増で遺伝子変異に関連した治験への参加率が低下、制度拡充が必要/国立がん研究センター(2025/04/18) 双極症における片頭痛と関連する臨床的特徴(2025/04/18) 臓器の生物学的老化の加速は疾患リスクに影響する(2025/04/18) [ あわせて読みたい ] 総合内科専門医試験対策 “苦手”科目をクイック復習 2016 (2016/07/29) 認定内科医試験完全対策 総合内科専門医ベーシック vol.4(2016/06/07) 認定内科医試験完全対策 総合内科専門医ベーシック vol.3(2016/05/31) Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV シーズンII(2014/07/03) 診療よろず相談TV(2013/10/25)