果物・野菜の摂取と胃がんリスクとの関連について疫学的な知見は一貫していない。北京大学のTianyi Wang氏らは、日本・中国・韓国において前向き試験のプール解析を行った結果、果物の摂取量が多いと非噴門部胃がんリスクが低下する可能性を報告した。International journal of cancer誌オンライン版2016年10月19日号に掲載。
著者らは、ベースライン時に血液サンプル・人口統計関連・ライフスタイル・食事に関するデータを収集したHelicobacter pylori Biomarker Cohort Consortiumから、プロスペクティブに確認された非噴門部胃がん症例810例およびマッチさせた対照群1,160例を解析した。また、総エネルギー摂取量・喫煙・H. pylori感染状態を調整した条件付きロジスティック回帰を用いて、コホートや性別ごとの果物・野菜の摂取量における四分位での胃がんリスクのオッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を計算した。
主な結果は以下のとおり。
・果物の摂取量の増加は、非噴門部胃がんのリスク低下と関連していた(OR:0.71、95%CI:0.52~0.95、傾向のp=0.02)。
・CagA陽性H. pyloriに感染した果物の低摂取者に対する、H. pylori抗体が証明されていない高摂取者の胃がん発症率のオッズ比が最も低く(OR:0.12、95%CI:0.06~0.25)、胃がん発症率と果物高摂取との逆相関はCagA陽性H. pyloriの感染例において弱かった(OR:0.82、95%CI:0.66~1.03)。
・野菜の摂取量と非噴門部胃がんリスクとの間には、非用量-反応を示唆する弱い逆相関が認められた。
(ケアネット 金沢 浩子)