網膜中心動脈閉塞の発症に大気汚染が関連

網膜中心動脈閉塞(CRAO)の発症に、環境大気汚染が関連していることが示唆された。台湾・国立陽明大学のHui-Chen Cheng氏らが行った地域住民ベースの後ろ向きコホート研究の結果、とくに糖尿病、高血圧患者および65歳以上の高齢者では、大気汚染とCRAO発症リスク増加との間に有意な関連が認められたという。Ophthalmology誌オンライン版2016年10月13日号掲載の報告。
研究グループは、台湾の国民健康保険に登録されたすべての受益者から無作為に選択した100万例のデータベースを用い、2001~13年にCRAOと新規に診断された患者を特定した。そして、これらの患者の居住地近くにある大気汚染物質の測定局で記録された粒子状物質≦2.5μm(PM2.5)、粒子状物質≦10μm(PM10)、二酸化窒素(NO2)、二酸化硫黄(SO2)およびオゾン(O3)濃度を調べた。対応する測定局のない患者は解析から除外した。
時間層別化症例クロスオーバー試験デザインと条件付きロジスティック回帰分析を用い、CRAOの発症リスクと各イベントの前後における大気汚染物質の濃度との関連を評価した。
主な結果は以下のとおり。
・CRAO患者は96例であった(平均年齢65.6歳[標準偏差12.7歳]、男性67.7%)。
・NO2濃度が1ppb増加した後の5日間に、CRAOの発症リスクが有意に増加した(OR:1.09、95%CI:1.01~1.17、p=0.03)。
・複数の汚染物質で調整後、糖尿病患者においてNO2濃度上昇の4日後(OR:1.40、95%CI:1.05~1.87、p=0.02)から5日後(OR:2.16、95%CI:1.10~4.23、p=0.03)のCRAO発症リスク増加が最も顕著であった。
・高血圧患者および65歳以上の高齢者でも、SO2濃度上昇1日後にCRAO発症リスクが有意に増加した(それぞれOR:1.88、95%CI:1.07~3.29、p=0.03およびOR:1.90、95%CI:1.13~3.21、p=0.02)。
・PM2.5、PM10およびO3を含む他の大気汚染物質の一時的な濃度は、CRAOの発症に有意な影響を及ぼさなかった。
(ケアネット)
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