未治療の緑内障患者において、眼圧降下治療の開始によって視野はどのような影響を受けるのだろうか。スウェーデン・ルンド大学のBoel Bengtsson氏らは、前向き無作為化研究を行い、眼圧降下治療を開始した緑内障患者における視野の変化に、無治療の患者との間で有意な差は観察されなかったことを報告した。著者は、「少なくとも眼圧が正常もしくは中等度上昇の緑内障患者では、眼圧降下治療の開始により視野が改善するという考えは支持されない」とまとめている。Investigative Ophthalmology & Visual Science誌2016年10月1日号掲載の報告。
研究グループは、眼圧が正常~中等度上昇の新たに緑内障と診断された患者255例を、眼圧降下治療群(129例)または無治療群(126例)に無作為割り付けした。
無作為化前および無作為化3ヵ月後に、ハンフリー自動視野測定およびゴールドマン眼圧測定を行い、視野サマリーインデックス、平均偏差(mean deviation:MD)、および光感度閾値が有意に低下した検査点でのトータル偏差(total deviation:TD[各検査点における実測された光感度閾値と年齢補正された正常値との差])の、無作為化3ヵ月後におけるベースラインからの変化を比較検討した。
主な結果は以下のとおり。
・眼圧は、治療群で平均24%、無治療群で平均0.6%降下した。
・MDは、両群ともわずかに悪化した。平均変化は治療群-0.15dB、無治療群-0.44dBで、両群に統計学的有意差はなかった(p=0.16)。
・眼圧降下とMDの変化との間に、関連はみられなかった。
・光感度閾値が有意に低下した検査点におけるTDは、わずかに低下し、平均変化は治療群-0.38dB、無治療群-0.45dBであった(p=0.88)。
(ケアネット)