トリプルネガティブ乳がんにエリブリンとペムブロリズマブの併用:サン・アントニオ乳癌シンポジウム

提供元:ケアネット

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公開日:2016/12/19

 

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、エリブリンメシル酸塩(製品名:ハラヴェン)と抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A. 米国とカナダ以外ではMSD)との併用療法による、転移性トリプルネガティブ乳がんを対象としたグローバル臨床第Ib/II相試験(218試験)の中間解析結果の成績を報告した。この報告は第39回サン・アントニオ乳癌シンポジウムにて発表されたもの。

 218試験は、2レジメン以下のがん化学療法治療歴のある転移性トリプルネガティブ乳がんの患者95例を対象として、エリブリンとペムブロリズマブ併用における有効性と安全性を評価する、多施設共同、単群、非盲検の臨床第Ib/II相試験。主要評価項目として第Ib相パートにおいては安全性と忍容性を、第II相パートにおいては奏効率(ORR)を評価するもの。

 本発表では、2016年7月時点において臨床試験に登録された89例中39例の患者に対する中間解析に関して報告した。21日を1サイクルとした、エリブリン(1日目と8日目に1.4mg/m2を静脈内投与)およびペムブロリズマブ(1日目に200mgを静脈内投与)の併用療法において、ORRは33.3%(完全奏効1例および部分奏効12例)であった。また、PD-L1陽性と陰性との間で、ORRの違いは認められなかった。併用投与群において高頻度で確認された有害事象(頻度35%以上)は、疲労、悪心、末梢神経障害、好中球減少、脱毛であった。Grade3以上の有害事象は66.7%で観察され、高頻度(7%以上)に確認されたものは、好中球減少(30.8%)、疲労(7.7%)であった。

 エリブリンは、新規の作用機序を有するハリコンドリン系の微小管ダイナミクス阻害剤。従来の作用機序に加えて、最近の非臨床研究において、腫瘍の血流循環を改善すること、乳がん細胞の上皮細胞化を誘導すること、乳がん細胞の転移・浸潤能を減少させることなどの作用を有することが知られている。本剤は、乳がんに係る適応について、60ヵ国以上で承認を取得している。

(ケアネット 細田 雅之)