食生活パターンとCKDの関係は?

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2017/01/06

 

 慢性腎臓病(CKD)患者の食生活パターンが、生存率と関連していることを示す新たなエビデンスが報告された。
 CKD進行症例を対象とした前向きコホート研究において、食習慣と腎関連の臨床アウトカムとの関係が評価された。Journal of Renal Nutrition誌オンライン版2016年12月8日掲載の報告。

<試験方法>
 外来の腎臓クリニック3施設(オーストラリア、クイーンズランド州)に通院するステージ3または4(推定糸球体濾過量15~59mL/分/1.73m2)の成人CKD患者145例を対象に、前向きコホート研究を行った。

 食事摂取量は、24時間思い出し法と、調理習慣および食物摂取群に関する食事パターン10項目を評価するHeartWise Dietary Habits Questionnaire(DHQ)を用いて測定した。
 主要評価項目は、複合エンドポイント(全死亡率、透析療法の開始、血清クレアチニンの倍増)とした。
 副次評価項目は、全死亡率のみとした。多変量cox回帰分析を用いて、DHQドメインと複合アウトカムの発生の関連についてのハザード比を算出し、合併症および腎機能を含む交絡因子の調整を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・36ヵ月の中央値フォローアップ中、32%(n=47)が複合エンドポイントに達し、21%(n=30)が死亡した。
・DHQスコアの上昇は、複合エンドポイントのリスク低下と関連していた。
・DHQスコアの上昇は、果物や野菜の摂取量増加(ハザード比:0.61、95%信頼区間:0.39~0.94)およびアルコール摂取の制限(ハザード比:0.79、95%信頼区間:0.65~0.96)と関連していた。
・副次評価項目の全死亡率については、果物や野菜の適切な摂取と有意に関連していた(ハザード比:0.35、95%信頼区間:0.15~0.83)。

 適量の果物や野菜の摂取とアルコール摂取量制限による、健康的な食生活を送ることで、透析療法の開始を遅らせ、ステージ3または4のCKD患者においては生存率を改善することが示唆された。

(ケアネット 常盤 真央)