よく飲むアルコール飲料の種類によって、糖尿病との関連が異なるのだろうか。Consortium on Health and Ageing Network of Cohorts in Europe and the United States(CHANCES)プロジェクトにおいて、飲酒者におけるアルコール飲料の嗜好と2型糖尿病の発症率との関連性を研究したところ、ビール・ワイン・蒸留酒のそれぞれに対する嗜好と糖尿病発症との関連は、嗜好がない場合と同様であることがわかった。European journal of clinical nutrition誌オンライン版2017年2月22日号に掲載。
本研究では、Consortium on Health and Ageing Network of Cohorts in Europe and the United States(CHANCES)から、ベースライン時の飲酒量を報告した6万2,458人のデータを含む、欧州のコホート研究10件についてメタ解析を実施した。糖尿病発症についてはフォローアップ期間中における診断書または診断されたことの自己申告に基づいた。摂取した全アルコールの70%以上がビール・ワイン・蒸留酒のいずれかである場合に嗜好があると定義した。調整ハザード比(HR)はCox比例ハザード回帰分析を用いて計算し、単一コホートのHRをランダム効果メタ解析でプールした。
主な結果は以下のとおり。
・嗜好がとくにない人と比較した糖尿病リスクのHRは、ビール嗜好の人では1.06(95%CI:0.93~1.20)、ワイン嗜好の人では0.99(95%CI:0.88~1.11)、蒸留酒嗜好の人では1.19(95%CI:0.97~1.46)であり、関連がみられなかった。
・総アルコール量に調整した絶対的ワイン摂取量は、糖尿病リスクの低下と関連した(6g/日当たりのpooled HR:0.96、95%CI:0.93~0.99)。
・蒸留酒嗜好の人は男女共に高BMIが糖尿病リスクの増加に関連していたが、一般的な疾患に罹患している人を除いた後には関連がなかった。
(ケアネット 金沢 浩子)