ラニビズマブ、PRPより増殖糖尿病網膜症の悪化抑制

提供元:ケアネット

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公開日:2017/03/01

 

 増殖糖尿病網膜症(PDR)に対する汎網膜光凝固(PRP)またはラニビズマブによる治療の有用性について、米国・ジョンズ・ホプキンス大学のSusan B Bressler氏らは、PDR悪化の観点から評価した。その結果、ラニビズマブはPRPと比較してPDRの増悪が少なく、とくに中心窩に及ぶ糖尿病黄斑浮腫を認めなかった眼において顕著であることが示された。著者は、「抗VEGF療法はPRPより頻繁に通院する必要があるが、PDRに対し、少なくとも2年はPRPの代替療法としてラニビズマブを使用することを支持するさらなるエビデンスが得られた」とまとめている。Ophthalmology誌オンライン版2017年2月1日号掲載の報告。

 研究グループは、米国の55施設において無作為化試験を実施した。対象は、PRPの治療歴がなく、視力が20/320以上の成人PDR患者305例394眼で、PRP群またはラニビズマブ(0.5mg/0.05mL硝子体内注射)群に無作為に割り付けた。
 評価項目は、無作為化からPDR悪化(硝子体出血、網膜剥離、前眼部血管新生、または血管新生緑内障の初回発生として定義される複合アウトカム)までの期間などであった。

 主な結果は以下のとおり。

・2年間でPDR悪化の累積発生率は、PRP群42%に対し、ラニビズマブ群は34%であった(ハザード比[HR]:1.33、99%信頼区間[CI]:0.90~1.98、p=0.063)。
・ベースラインにおける糖尿病網膜症重症度(ETDRSスケールによる)の高さは、治療群に関係なく、PDR悪化リスクの増大と関連していた(高度群:64%、中等度群23%、HR:3.97、99%CI:2.48~6.36、p<0.001)。
・PRP群において、パターン照射は従来のシングル・スポットPRPと比較し、初回PRPを完了するための照射回数や設定スポット数に関係なく、PDR悪化のリスクが高かった(60% vs.39%、HR:2.04、99%CI:1.02~4.08、p=0.008)。
・両群とも、ベースライン時に視力が低下した中心窩を含む糖尿病黄斑浮腫を認めた眼はラニビズマブの投与を要したため、これらを除いた眼におけるサブグループ解析を行ったところ、PDR悪化率はPRP群(45%)がラニビズマブ群(31%)より大きかった(HR:1.62、99%CI:1.01~2.60、p=0.008)。

(ケアネット)