肉を多く食べる男性は、そうでない人と比べて、大腸がんの発症リスクが有意に高いことが、岐阜大学の和田 恵子氏らによる研究で明らかになった。肉を多く食べ過ぎないことが、大腸がんの発症抑制につながるかもしれない。Cancer science誌オンライン版2017年3月3日号の報告。
日本人における肉の消費と大腸がんに関するエビデンスは、欧米人のそれと比較して限られている。そのため著者らは、日本において集団ベースの前向きコホート研究を実施し、食肉の消費と大腸がんリスクの関連について評価した。
対象は、1992年9月時点で35歳以上の男性1万3,957人、女性1万6,374人。食肉の消費は、食物摂取頻度調査票を用いて評価した。大腸がんの発症率は、地域集団ベースのがんレジストリおよび2つの主要病院で実施された大腸内視鏡検査における組織学的同定により調査した。
主な結果は以下のとおり。
・1992年9月~2008年3月までに、男性429人、女性343人が大腸がんを発症した。
・複数の交絡因子の調整後、男性の総食肉摂取量および赤肉摂取量の最高四分位群は、最低四分位群と比較して大腸がんの相対リスクが有意に上昇した。
総食肉(ハザード比:1.36、95%CI:1.03~1.79、p for trend=0.022)
赤肉(ハザード比:1.44、95%CI:1.10~1.89、p for trend=0.009)
・男性の加工肉の摂取と結腸がんリスクとの間に正の関連性が認められた。
・女性の大腸がんと食肉消費との間には有意な関連は認められなかった。
(ケアネット 武田 真貴子)