非弁膜症性心房細動(NVAF)例に対する第Xa因子(FXa)阻害剤の投与は、血液凝固マーカーだけでなく、血管炎症マーカーであるペントラキシン3(PTX3)も改善させることが、横浜栄共済病院の加藤 大雅氏らによる研究で明らかになった。これらのマーカーの変化が将来の心血管イベントリスクの低下と関連するかどうかを評価するためには、さらに大規模な前向き研究が必要である。Heart and vessels誌オンライン版2017年3月10日号の報告。
FXa阻害剤は、凝固カスケードだけでなく、炎症誘導性応答においても重要な役割を果たす。しかし、FXa阻害剤の抗炎症作用に関する臨床試験はほとんど行われていない。
そのため著者らは、日本人のNVAF患者におけるFXa阻害剤の抗炎症作用および抗アテローム硬化作用を評価する目的で調査を行った。
対象は、2013年3月~2015年3月までにFXa阻害剤を用いて治療を行ったNVAF患者83例のうち、ワルファリンまたはダビガトランによる治療を行っていない患者55例(リバーロキサバン投与23例、アピキサバン投与32例)。ベースラインおよびFXa阻害剤による治療を6ヵ月間行った後のさまざまな炎症マーカーおよび凝固マーカーを測定した。
主な結果は以下のとおり。
・治療6ヵ月後、PTX3、フィブリン/フィブリノゲン分解産物(FDP)、D-ダイマーの血清濃度は有意に減少し、血中トロンボモジュリン(TM)濃度は有意に増加した。
・各マーカーの変化は、リバーロキサバンとアピキサバンの両剤で同様の傾向を示した。
・以上の結果から、FXa阻害剤は、NVAF例に対する抗凝固作用だけでなく、抗炎症作用も有することが示唆された。
(ケアネット 武田 真貴子)