チョコレート摂取は心臓血管に有益な効果をもたらす可能性があるが、前向きコホート研究でのエビデンスは少ない。今回、わが国の大規模コホート研究であるJPHC study(主任研究者:国立がん研究センター 津金昌一郎氏)において、チョコレート摂取と脳卒中リスクの関連を前向きに調査したところ、女性でのみ有意な逆相関を支持する結果が報告された。Atherosclerosis誌オンライン版2017年3月4日号に掲載。
本研究では、1995年および1998年のベースライン時に、心血管疾患・糖尿病・がんではなかった44~76歳の男性3万8,182人と女性4万6,415人を、それぞれ2009年および2010年末まで追跡調査した。138種類の飲食品を含む自記式食物摂取頻度調査法を用いて、各参加者のチョコレート摂取に関するデータを入手した。また、Cox比例ハザード回帰モデルを用いて、チョコレート摂取に関連する脳卒中のハザード比(HR)を推定した。
主な結果は以下のとおり。
・追跡期間中央値12.9年で、脳卒中の発症が3,558件にみられた(脳梗塞2,146件、出血性脳卒中1,396件)。
・年齢・BMI・ライフスタイル・食事摂取量・他の危険因子の調整後、女性において、チョコレート摂取が脳卒中リスク低下に有意に関連していた(HR:0.84、95%CI:0.71~0.99)。
・男性における関連は有意ではなかった(HR:0.94、95%CI:0.80~1.10)。
・上記の関連性は、男女とも、脳卒中のサブタイプで同様であった。
・しかしながら、残存交絡は除外できなかった。
(ケアネット 金沢 浩子)