抗血小板薬が、認知機能に対する予防効果を有するかはよくわかっていない。台湾・高雄医学大学のShu-Yu Tai氏らは、アジア人における、cAMPホスホジエステラーゼ3阻害薬である抗血小板薬シロスタゾールの使用と認知症リスクとの潜在的な関連を検討した。Neurotherapeutics誌オンライン版2017年2月13日号の報告。
台湾の全民健康保険データベースより、2004年1月~2009年12月にシロスタゾールでの治療を開始した認知症でない患者を分析した。参加者は、年齢、性別、併存疾患、併用薬により層別化した。重要なアウトカムは、すべての原因による認知症とした。累積シロスタゾール投与量は、非使用患者と比較して1日量の四分位で層別化した。
主な結果は以下のとおり。
・ベースライン時、認知症でない40歳以上の患者9,148例を対象とし、分析を行った。
・シロスタゾールを使用していた患者(2,287例)は、非使用者(6,861例)と比較し、認知症リスクが有意に低下していた(調整後HR[aHR]:0.75、95%CI:0.61~0.92)。
・とくにシロスタゾール使用は、用量依存的に認知症発現率の低下と関連していた(p for trend=0.001)。
・サブグループ解析では、虚血性心疾患(aHR:0.44、95%CI:0.24~0.83)、脳血管疾患(aHR:0.34、95%CI:0.21~0.54)の診断を有するシロスタゾール使用患者において、認知症リスク低下が示された。
著者らは「本結果より、シロスタゾール使用が、認知症発症リスクを低下させる可能性があり、累積投与量が多いほどリスクが低下することを示唆している。これらの知見は、無作為化試験において、さらに検討すべきである」としている。
(鷹野 敦夫)