喫煙が白血病発症に関連したリスクとなることは従来の研究で報告されているが、その多くは欧米におけるものであり、日本人を対象とした大規模な研究はほとんど行われておらず、その関連性は不明であった。今回、愛知県がんセンター研究所遺伝子医療研究部の松尾 恵太郎氏らの研究により、男性で1日30本以上の喫煙者は、非喫煙者に比べ急性骨髄性白血病(AML)リスクが2.2倍となることが明らかになった。Journal of Epidemiology誌4月8日号に掲載。
本研究は、9万6,992例の日本人被験者(男性4万6,493例と女性5万499例、ベースライン時40~69歳)の大規模コホート。平均18.3年間のフォローアップ期間中、90例のAMLと19例の急性リンパ性白血病(ALL)、28例の慢性骨髄性白血病(CML)が確認された。潜在的交絡因子に対するハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)の調整のため、Cox回帰モデルを使用した。
主な結果は以下のとおり。
・年齢、居住地域、性別、職業、肥満指数を調整のうえ検討した結果、喫煙とAML発症リスクとの間に有意な関連性や用量反応関係はみられなかった。
・しかし、体格指数と職業による調整後の検討により1日30本以上のタバコを現在も吸っている男性では、非喫煙者に比べてAMLリスクが有意に高かった(HR:2.21、95%CI:1.01~4.83)。
・1日30本未満の男性では、AMLのリスク上昇はみられなかった。
・女性におけるAMLやCML、ALLについては、喫煙者および罹患者が少なく、関連は不明であった。
(ケアネット 田上 優子)