乾癬治療が血管炎症も改善?

提供元:ケアネット

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公開日:2017/06/20

 

 乾癬は慢性の炎症性皮膚疾患で、血管炎症ならびに将来の心血管イベント増加との関連が知られている。一方、炎症はアテローム性動脈硬化の進展において重要である。米国・国立衛生研究所のAmit K. Dey氏らは、乾癬患者における皮膚の炎症の治療と血管性疾患の関連を検討する前向きコホート研究を行い、乾癬の皮膚重症度(PASIスコア)の改善が大動脈の炎症の改善と関連していることを明らかにした。とくにPASIスコアが75%以上改善した場合に、大動脈の炎症の改善がより大きいことが観察されたという。結果を踏まえて著者は、「皮膚など遠隔標的器官の炎症をコントロールすることで血管性疾患が改善するかもしれない」と述べ、無作為化臨床試験で今回の結果を確認する必要性を強調した。JAMA Cardiology誌オンライン版2017年5月31日号掲載の報告。

 研究グループは、乾癬の皮膚重症度の変化と血管炎症の変化との関連を調べるとともに、血管炎症に対する抗TNF製剤治療の影響を検討する目的で、外来診療を受診した乾癬患者連続115例を登録し1年間追跡した。試験期間は2013年1月1日~2016年10月31日で、2016年11月に解析が行われた。

 皮膚炎症はPASIスコアで、血管の炎症は18FDG-PETによるtarget-to-background ratio(TBR)で評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・115例の1年追跡時の平均(±SD)年齢は50.8±12.8歳で、68例(59%)は男性であった。
・コホートは、軽度~中等度の乾癬(PASIスコア中央値:5.2、四分位範囲:3.0~8.9)を有しており、フラミンガムリスクスコアによる心血管リスクは低かった。
・1年間追跡した後のPASIスコアは、中央値で33%改善していた(局所療法で60%、生物学的製剤療法[大部分は抗TNF製剤]で66%、光線療法で15%、p<0.001)。
・乾癬のPASIスコアの改善は、TBRの6%改善と関連していた。
・この関連は、従来のリスク因子を調整後も認められ(β=0.19、95%信頼区間[CI]:0.012~0.375、p=0.03)、抗TNF製剤で治療された場合が最も強かった(β=0.79、95%CI:0.269~1.311、p=0.03)。

(ケアネット)