クルクミン、うつ病治療への可能性

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2017/06/21

 

 強力な抗炎症作用、抗酸化作用、神経保護作用を有する植物ポリフェノールのクルクミンに、新規抗うつ薬としての関心が高まっている。臨床試験においては、うつ病への有効性に関する結論は矛盾している。シンガポール国立大学のQin Xiang Ng氏らは、うつ病におけるクルクミンの臨床的使用に関するメタ解析を行った。Journal of the American Medical Directors Association誌2017年6月1日号の報告。

 1960年1月1日~2016年8月1日の間に英語で発表された論文を、PubMed、Ovid、Cochrane Collaboration Depressionなどより、クルクミンの異表記も含めた複数のキーワードで検索した。

 主な結果は以下のとおり。

・クルクミンとプラセボを比較した臨床試験6件より、合計377例がレビューされた。
・うつ病患者では、HAM-Dスコアのベースラインからプールされた標準化平均差は、うつ症状の改善に対するクルクミンの有意な臨床効果を支持した(プールされた標準化平均差:-0.344、95%CI:-0.558~-0.129、p=0.002)。
・有意な抗不安効果も、3件の臨床試験で報告された。
・とくに、いずれの試験においても有害事象は報告されていなかった。
・クルクミンのオープン試験および単盲検試験を除くほとんどの試験において、バイアスリスクは低かった。
・利用可能な試験が少ないため、漏斗プロットまたは感度解析はできなかった。また、その試験期間も4~8週であるため、クルクミンの長期有効性および安全性に関するエビデンスも限られていた。

 著者らは「うつ病患者に対するクルクミンの使用は、安全性、忍容性、有効性が高いと考えられる。大きなサンプルサイズと長期にわたるフォローアップ研究により、その妥当性を確認するためにも、しっかりした無作為化比較試験を計画するべきである」としている。

■関連記事
たった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能
うつ病の再発を予測する3つの残存症状:慶應義塾大
うつ病の薬物治療、死亡リスクの高い薬剤は

(鷹野 敦夫)