急性期脳卒中入院患者の退院計画は、医療資源の合理的な利用を促進するとともに、臨床アウトカムを改善し患者の経済的負担を軽減する。とくに、退院先の予測は退院計画に重要であることから、京都大学の西垣 昌和氏らのグループは、急性脳卒中後に自宅に退院する可能性が高い患者を予測する5つの変数を特定し、評価モデルを開発した。本モデルは入院後早期に医療従事者が退院を適切に計画するのに役立つだろうと著者らは記している。Stroke誌オンライン版2017年8月25日号に掲載。
本研究は、2011年1月1日~2015年12月31日にわが国の脳卒中センターに入院した急性脳卒中患者3,200例の電子カルテをレビューした、後ろ向きコホート研究である。アウトカムの変数は発症後早期の脳卒中患者の退院先で、予測変数はロジスティック回帰分析により特定した。データは、このモデルを開発するための学習データ(n=2,240)およびモデルの予測能を評価するための試験データ(n=960)に分けた。
主な結果は以下のとおり。
・全部で1,548人(48%)の患者が自宅に退院した。
・複数のロジスティック回帰分析では、生活習慣、脳卒中のタイプ、入院時の機能的自立度評価運動スコア、入院時の機能自立度評価認知スコア、麻痺の5つの予測変数が特定された。
・本評価モデルは、カットオフポイント10としたとき、感度85.0%、特異度75.3%を示し、曲線下面積は0.88(95%信頼区間:0.86~0.89)であった。
・予測能の評価においては、感度88.0%、特異度68.7%で、曲線下面積は0.87(95%信頼区間:0.85~0.89)であった。
(ケアネット 金沢 浩子)