西洋諸国よりも食事のグリセミックインデックス(GI)と血糖負荷(GL)が高いアジア人集団において、これらとうつ症状との関連についての疫学的エビデンスは限定的であり、結論は出ていない。今回、東京大学の研究グループの横断研究で、日本人の若年および中年女性において、食事のGIがうつ症状と逆相関し、GLとは関連がなかったことが示された。European journal of nutrition誌オンライン版2017年7月20日号に掲載。
本研究は、食習慣と健康に関する女性3世代研究グループによる横断研究で、被験者は、日本人の若年女性(18歳)3,963人と中年女性(平均47.8歳)3,826人。食事歴法質問票により食事のGIとGLを評価。Center for Epidemiologic Studies Depression scoreが16以上の場合にうつ症状があると定義された。
主な結果は以下のとおり。
・うつ症状の有病率は、若年女性で50.2%、中年女性で27.3%であった。
・エネルギーで調整したGIとGL(グルコースのGI=100)の平均値(標準偏差)はそれぞれ、若年女性で64.9(4.3)と142.0(27.4)、中年女性で65.0(4.1)と142.2(29.5)であった。
・潜在的な交絡因子の調整後、高いGIがうつ症状の低い有病率に関連し、GIの最高五分位の最低五分位に対するうつ症状の調整OR(95%CI)は、若年女性で0.66(0.52~0.82)(傾向のp=0.001)、中年女性で0.75(0.60~0.96)(傾向のp=0.046)であった。
・どちらの年齢層においても、GLとうつ症状との間に関連はみられなかった。
(ケアネット 金沢 浩子)