栄養精神医学の分野は、急速に成長している。当初は、メンタルヘルスにおけるビタミンや微量栄養素の効果について焦点が当てられてきたが、ここ10年間では食事パターンにも焦点が当てられている。うつ病のような最も一般的な精神疾患において、費用対効果の高い食事療法による介入の可能性は、潜在的に大きな影響を及ぼすため見過ごされるべきではない。ポルトガル・コインブラ大学のMariana Jesus氏らは、うつ病における食事パターンの影響について検討を行った。Current Pharmaceutical Biotechnology誌オンライン版2018年9月25日号の報告。
うつ病予防に食事パターンが重要な役割を果たす
古典的な文献レビューを実施し、2010~18年のうつ病およびうつ症状における食事パターンの影響に焦点を当てた研究を抽出した。
うつ病と食事パターンの影響について検討した主な結果は以下のとおり。
・基準に合致した研究は、10件抽出された。
・ほとんどの研究において、健康的な食事パターン(果実、野菜、赤身肉、ナッツ、全粒穀物が豊富、加工食品や糖質食品が少ない)と各年齢層におけるうつ病やうつ症状との間に逆相関関係が認められた(一部の著者は、女性のみ統計学的に有意であると報告している)。
・ほとんどの研究は、横断的調査デザインであり、因果関係の推定が困難であったが、ランダム化比較試験においても、同様な結果が得られていた。
著者らは「正確な病因経路は不明であるが、食事パターンとうつ病との関連は、十分に確立されている。伝統的な食事のような健康的な食事パターンによる食事療法は、うつ病および抑うつ症状の予防および補助療法において重要な役割を果たすと考えられる」とし、「高品質の食事パターンとうつ病および抑うつ症状のリスクとの関連性を確認するためには、より大規模なランダム化比較試験を実施する必要性がある」としている。
(鷹野 敦夫)