初回抗うつ薬治療無効患者、増量療法に意味はあるか 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2017/10/19 多くのうつ病患者は、最初の抗うつ薬単独療法に十分反応しない。そのため、次の治療手段として、投与されている抗うつ薬の増量(漸増、高用量)がしばしば行われる。オーストリア・ウィーン医科大学のMarkus Dold氏らは、うつ病への抗うつ薬の増量について二重盲検無作為化比較試験のメタ解析を行った。Psychotherapy and psychosomatics誌2017年号の報告。 メタ解析には、標準用量の抗うつ薬で治療反応が不良であったうつ病患者を対象としている、抗うつ薬増量療法と標準用量継続療法を直接比較したすべての二重盲検無作為化比較試験(RCT)が含まれた。主要アウトカムは、HAM-D総スコアの平均変化とした。副次的アウトカムは、治療反応率、全原因による治療中断、無効、副作用とした。Hedges gとリスク比は、エフェクトサイズとして計算した。 主な結果は以下のとおり。 ・7つの二重盲検RCT(8アーム)より、1,208例が抽出された。 ・内訳は、fluoxetine 2件(448例)、セルトラリン2件(272例)、パロキセチン2件(146例)、デュロキセチン1件(255例)、マプロチリン1件(87例)であった。 ・抗うつ薬増量療法は、標準用量継続療法よりもHAM-D総スコア低下において有効ではないことが、プールされた抗うつ薬群(7件、999例、Hedges g:-0.04、95%CI:-0.20~0.12、p=0.63)と個々の抗うつ薬群のどちらでも認められた。 ・治療反応率、全原因による治療中断、無効による脱落について、差は認められなかった。 ・抗うつ薬増量療法の患者では、標準用量継続療法の患者よりも、副作用による脱落が有意に多かった。 ・メタ回帰分析では、ベースラインの症状重症度やエフェクトサイズに対する用量増加の影響は示されなかった。 著者らは「メタ解析の結果から、初回の抗うつ薬治療において標準用量で治療反応が認められない患者への抗うつ薬増量療法は、うつ病に対する一般的なエビデンスベースの治療選択肢としてみなされない」としている。 ■関連記事 治療抵抗性うつ病、抗うつ薬併用 vs.抗精神病薬増強 たった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能 うつ病の薬物治療、死亡リスクの高い薬剤は (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Dold M, et al. Psychother Psychosom. 2017;86:283-291. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 前糖尿病の肥満へのチルゼパチド、糖尿病発症リスク93%減/NEJM(2024/11/22) 生後2年間のデジタル介入で肥満リスク低下/JAMA(2024/11/22) BRCA1/2病的バリアント保持者における乳がん後の二次原発がんリスク/JCO(2024/11/22) 家庭内のインフル予防、手指衛生やマスクは効果ある?~メタ解析(2024/11/22) 統合失調症患者に対する抗精神病薬の投与経路変更の影響は〜メタ解析(2024/11/22) 「週末戦士」でも脳の健康に利点あり(2024/11/22) 減量薬のアクセス拡大が年4万人以上の米国人の命を救う可能性(2024/11/22) 抗てんかん薬の早期処方が認知症リスクの低さと関連(2024/11/22) [ あわせて読みたい ] Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20)