ALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)では、ほとんどの患者が耐性を獲得し進行する。クリゾチニブ治療後における第2世代ALK-TKI治療のPFSも1年に満たない。brigatinibはALK耐性変異に幅広い活性を示すべくデザインされた次世代のALK-TKIである。第18回世界肺癌学会(WCLC)では、クリゾチニブ耐性進行ALK肺がんにおけるbrigatinibの第II相ALTA試験の1.5年の追跡結果について、韓国・Samsung Medical CenterのMyung-Ju Ahn氏が発表した。
ALTA試験は無作為オープンラベル用量漸増試験。クリゾチニブで進行した局所進行または転移ALK陽性NSCLCをbrigatinib 90mg/日群(n=112)とbrigatinib180㎎/日群(n=110)に無作為に割り付け、進行するか許容できない毒性が現れるまで治療継続された。主要評価項目は治験担当医の評価による奏効率(ORR)。副次評価項目は独立放射線審査委員会(IRC)によるORR、IRCによるCNS奏効、奏効期間(DOR)、全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)安全性、忍容性など。
患者背景は両群で同様であった。患者の平均年齢は54歳、女性57%、白人67%(アジア人31%)、喫煙歴は非喫煙・不明が61%、ベースライン時の脳転移は69%に認められた。データカットオフ時、90mg群の32%、180mg群の41%が治療継続中であり、追跡期間中央値は、90mg群16.8ヵ月、180mg群18.6ヵ月であった。
brigatinibの治験担当医評価のORRは、90㎎群で46%、180㎎群で55%であった。IRC評価のORRは90㎎群で51%、180㎎群で55%であった。DORは90㎎群で12ヵ月、180㎎群で13.8ヵ月、IRCによるDORは90㎎群13.8ヵ月、180㎎群14.8ヵ月であった。治験担当医評価のPFSは90㎎群で9.2ヵ月、180㎎群15.6ヵ月であった(HR:0.64)。OSは90㎎群で未到達、180㎎群では27.6ヵ月という結果だが、生存曲線は早期から180mg群が上回っていた(HR:0.67)。
頭蓋内ORRは90㎎群(n=26)で50%、180㎎群(n=18)で67%であった。また、頭蓋内PFSは90mg群で16.6ヵ月、180㎎群では未到達であった。
治療関連有害事象(TRAE)は180mgで発現が多い傾向にあった。頻度の高いAEは、下痢、悪心・嘔吐、疲労感、高血圧であったが、ほとんどはGrade1~2であった。投与中止は90mgで4例、180mg群で11例であった。
brigatinibは、クリゾチニブ耐性例に対し、継続して良好な効果と忍容性の高さを示した。180mg群では55%のORRと1年を超える(15ヵ月)PFSを示し、さらに頭蓋内病変に対して67%のORRを示した。
■参考
ALTA試験(Clinical Trials.gov)
(ケアネット 細田 雅之)