統合失調症の再入院に対する抗精神病薬の比較 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2018/01/16 再発予防、とくに初回エピソード統合失調症患者における、新規抗精神病薬の長期有効性の比較についてはあまり知られていない。フィンランド・東フィンランド大学のHeidi Taipale氏らは、統合失調症患者の再入院リスクに対する各種抗精神病薬の影響について、比較検討を行った。Schizophrenia bulletin誌オンライン版2017年12月20日号の報告。 フィンランドヘルスケアレジストリより、1972~2014年のフィンランド統合失調症入院患者の全国データを、プロスペクティブに取集した。全体で統合失調症患者6万2,250例が、プリバレントコホートに含まれ、初回エピソード統合失調症患者8,719例がインシデントコホートに含まれた。抗精神病薬のフォローアップは、プリバレントコホートでは1996年より開始し、インシデントコホートでは入院患者の初回退院時より開始した。精神医学的および全原因による入院リスクについての個々のCox回帰モデルは、選択バイアスを排除するため、患者自身をコントロールとして使用し、抗精神病薬使用の有無によるリスクを比較するために構築した。 主な結果は以下のとおり。 ・20年間のフォローアップにおいて、プリバレントコホートの59%は、精神医学的入院治療が必要なため再入院した(中央値:14.1、四分位範囲:6.9~20.0)。 ・プリバレントコホートにおいて、精神科再入院リスクが最も低かった抗精神病薬は、オランザピン持効性注射剤(調整ハザード比:0.46、95%CI:0.36~0.61)、クロザピン(調整ハザード比:0.51、95%CI:0.49~0.53)、パリペリドン持効性注射剤(調整ハザード比:0.51、95%CI:0.40~0.66)であった。 ・初回エピソード統合失調症患者では、flupentixol持効性注射剤(調整ハザード比:0.24、95%CI:0.12~0.49)、オランザピン持効性注射剤(調整ハザード比:0.26、95%CI:0.16~0.44)、ペルフェナジン持効性注射剤(調整ハザード比:0.39、95%CI:0.31~0.50)において、最もリスクが低かった。 著者らは「クロザピンと持効性注射剤は、両コホートにおいて、全原因による入院リスクが最も低かった。クロザピンと持効性注射剤は、慢性期統合失調症患者と初回エピソード統合失調症患者の精神医学的要因および全原因による入院を予防するうえで、最も効果的な治療法であると考えられる」としている。 ■関連記事 統合失調症の再入院、剤形の違いで差はあるのか 長時間作用型注射製剤は、統合失調症患者の入院減少と入院期間短縮に寄与 統合失調症の再発率比較、併用療法 vs. 単独療法 vs. LAI (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Taipale H, et al. Schizophr Bull. 2017 Dec 20. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] アルドステロン産生腺腫に対する超音波内視鏡下経胃高周波アブレーション/Lancet(2025/02/21) 肥満者の鎮静下内視鏡検査、高流量鼻カニューレ酸素投与で低酸素症が減少/BMJ(2025/02/21) 妊娠糖尿病とメトホルミン―「非劣性試験で有意差なし」の解釈は難しい(解説:住谷哲氏)(2025/02/21) 第22回日本臨床腫瘍学会の注目演題/JSMO2025(2025/02/21) 1日1杯の緑茶が花粉症を抑制か~日本人大規模コホート(2025/02/21) 日本における第2世代抗精神病薬誘発性ジストニア〜JADER分析(2025/02/21) 50代の半数がフレイルに相当!早めの対策が重要/ツムラ(2025/02/21) 飲食店メニューのカロリー表示は摂食障害の患者にとって有害(2025/02/21) [ あわせて読みたい ] Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20)