統合失調症、双極性障害に対する持効性注射剤使用と関連コスト 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2018/01/30 持効性注射剤(LAI)の抗精神病薬で治療を行った統合失調症および双極性障害患者の、全原因の入院と関連コストの比較について、米国・Partnership for Health Analytic Research, LLCのTingjian Yan氏らが検討を行った。Current medical research and opinion誌2018年1月号の報告。 統合失調症および双極性障害患者を抽出するため、Truven MarketScanのメディケイド (公的医療保険)または民間のレセプトデータベースを用いた。2013年1月~2014年6月にLAIを1剤以上使用した成人患者を特定した。LAI投与開始日をindex dayとし、1年以上の追跡を行った。入院リスクと関連コストを推定するため、ロジスティック回帰モデルおよび一般線形回帰モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。 ・調整された分析結果では、統合失調症患者において、ハロペリドールLAI(オッズ比[OR][95%信頼区間[CI]]:1.51[1.05~2.16]、ハザード比[HR][95%CI]:1.35[1.05~1.73])およびリスペリドンLAI(OR[95%CI]:1.58[1.07~2.33]、HR[95%CI]:1.33[1.01~1.74])治療患者は、月1回のアリピプラゾールLAI治療患者よりも、入院リスクが統計学的に有意に高かった。 ・双極性障害患者においても同様に、ハロペリドールLAI(OR[95%CI]:1.49[1.01~2.19]、HR[95%CI]:1.33[1.03~1.73])およびリスペリドンLAI(OR[95%CI]:1.78[1.19~2.66]、HR[95%CI]:1.33[1.01~1.75])治療患者は、月1回のアリピプラゾールLAI治療患者よりも、入院リスクが有意に高かった。 ・両疾患ともに、入院コストの統計学的に有意な差は認められなかった。 著者らは「疾患の重症度などがレセプトデータベースに含まれていないため、交絡変数の影響を受ける可能性があるが、統合失調症または双極性障害患者に対して、アリピプラゾールLAIは、ハロペリドールLAIおよびリスペリドンLAIよりも有効であると考えられる」としている。 ■関連記事 アリピプラゾールLAIのレビュー、メリット・デメリットは LAIを適切に使用するための5つのポイント 維持期統合失調症、LAI使用で注意すべきポイント:慶應義塾大 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Yan T, et al. Curr Med Res Opin. 2018;34:41-47. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 うつ病から双極性障害や統合失調症への移行~15年間のプロスペクティブ研究 医療一般(2020/06/11) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 前糖尿病の肥満へのチルゼパチド、糖尿病発症リスク93%減/NEJM(2024/11/22) 生後2年間のデジタル介入で肥満リスク低下/JAMA(2024/11/22) BRCA1/2病的バリアント保持者における乳がん後の二次原発がんリスク/JCO(2024/11/22) 家庭内のインフル予防、手指衛生やマスクは効果ある?~メタ解析(2024/11/22) 統合失調症患者に対する抗精神病薬の投与経路変更の影響は〜メタ解析(2024/11/22) 「週末戦士」でも脳の健康に利点あり(2024/11/22) 減量薬のアクセス拡大が年4万人以上の米国人の命を救う可能性(2024/11/22) 抗てんかん薬の早期処方が認知症リスクの低さと関連(2024/11/22) [ あわせて読みたい ] クローズアップ!精神神経 7疾患(2021/01/26) ~プライマリ・ケアの疑問~ Dr.前野のスペシャリストにQ!【精神科編】(2019/06/15) Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24)