うつ病および自殺に関連する遺伝学的治療標的 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2018/02/19 うつ病患者の自殺リスクは、他の精神疾患よりも高いといわれている。うつ病と自殺には、共通の原因を有する可能性もあるが、その根拠を特定するための研究は行われていない。イラン・Iran University of Medical SciencesのAli Bozorgmehr氏らは、文献レビューを行い、うつ病と自殺行動に関連する遺伝子および遺伝学的薬物治療について検討を行った。Journal of affective disorders誌オンライン版2018年1月8日号の報告。 関連文献の幅広いレビューを行い、大うつ病と自殺行動に関連するほぼすべての遺伝子を調査し、2つの条件で共通遺伝子を分離した。次いで、3つの遺伝子セット内におけるすべての物理的または機能的相互作用を調査し、遺伝子ネットワークを構築した。すべてのネットワークは、トポロジー的に分析され、機能的に強化された。最後に、既存薬再利用(drug repurposing approach)により、自殺行動とうつ病との間で最も重要な共通遺伝子と相互作用する主要な利用可能薬物を調査した。 主な結果は以下のとおり。 ・最も基本的な共通遺伝子は、BDNF、SLC6A4、CREB1、TNFであった。 ・主要な共有欠損経路(shared deficient pathway)は、一般的なドパミン作動性経路、セロトニン作動性経路、神経突起の免疫学的経路であった。 ・主要な治療標的遺伝子は、SLC6A4とSLC6A2の2つであり、セロトニンノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)と三環系抗うつ薬(TCA)が、自殺リスクを有するうつ病患者に最も有効な薬物であることが示唆された。 著者らは「本結果は、うつ病と自殺の統合された分子学的機序に焦点を当てたことに加え、自殺リスクの高いうつ病患者に対する新規治療標的を提案し、将来の前臨床および臨床研究の道を開拓することができた。しかし、統合システム生物学的基礎研究は、既存のデータや関連データベースに大きく依存しており、将来の新規実験データソースの登場により、現在の結果に影響を及ぼす可能性がある」としている。 ■関連記事 うつ病患者の自殺企図、遺伝的な関連性は うつ病のリスク遺伝子判明:藤田保健衛生大 遺伝子で抗うつ効果を予測可能か (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Bozorgmehr A, et al. J Affect Disord. 2018 Jan 8. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 うつ病の発症、HHV-6が持つ遺伝子SITH-1が関与か:慈恵医大 医療一般 日本発エビデンス(2020/06/12) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] ATTR型心アミロイドーシス、CRISPR-Cas9遺伝子編集療法が有望/NEJM(2024/12/23) 更年期のホルモン補充療法、心血管疾患のリスクは?/BMJ(2024/12/23) 温水洗浄便座を使用する?しない?その理由は/医師1,000人アンケート(2024/12/23) 38種類の抗うつ薬と自殺リスク、小児に対するブラックボックス警告はいまだに有効か(2024/12/23) 帯状疱疹ワクチン、65歳を対象に定期接種化を了承/厚労省(2024/12/23) TN乳がん術前化学療法への周術期アテゾリズマブ上乗せ、EFSを改善せず/SABCS2024(2024/12/23) 増える成人食物アレルギーと新規アレルゲン、「食べたい」に応えるために/日本アレルギー学会(2024/12/23) 「ストレス食い」の悪影響、ココアで軽減の可能性(2024/12/23) [ あわせて読みたい ] クローズアップ!精神神経 7疾患(2021/01/26) ~プライマリ・ケアの疑問~ Dr.前野のスペシャリストにQ!【精神科編】(2019/06/15) Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24)