MET増幅はEGFR C797Sと並び、第3世代EGFR-TKIオシメルチニブの代表的な体制機構である。過去の研究では、オシメルチニブ耐性の30%前後にMET増幅がみられるとの報告もある。しかし、オシメルチニブ耐性後のMET増幅に関するコホート研究はほとんど行われていない。本研究では、進行肺腺がん患者におけるオシメルチニブ耐性後のMET増幅の獲得について、またMET増幅と臨床予後との関係について調査した。
中国・重慶の第3軍医大学Daping病院に登録された、T790M発現肺腺がん患者の中からオシメルチニブの耐性を獲得した13例のNCSLCコホートを後ろ向きに解析した。オシメルチニブ治療前と耐性獲得後の血漿および組織サンプルで縦断的にターゲット・キャプチャー・シーケンスを行った。また、潜在的な耐性機構を検討するため、オシメルチニブ耐性後のMET増幅と予後との関係をKaplan-Meier解析で調べた。
主な結果は以下のとおり。
・MET増幅は、オシメルチニブ耐性患者の30.8%(13例中4例)に確認された。
・MET増幅患者の無増悪生存期間(PFS)は3.5ヵ月、MET増幅陰性患者のPFSは9.9ヵ月であり、MET増幅患者で短かった(p=0.117)。
・MET増幅患者の全生存期間(OS)は15.6ヵ月、MET増幅陰性患者のOSは30.7ヵ月であり、MET増幅患者で短かった(p=0.885)。
・MET増幅患者2例において、MET阻害薬クリゾチニブと、第1世代EGFR-TKI icotinib、第3世代EGFR-TKIオシメルチニブとの併用治療をそれぞれ行った結果、両患者共に臨床的・放射線学的PRが得られた。
■参考
Wang Y, et al. Lung Cancer.2018;118:105-110.
(ケアネット 細田 雅之)