統合失調症の維持治療に対するブレクスピプラゾールの長期安全性評価研究

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2018/03/08

 

 ブレクスピプラゾールは、統合失調症の急性期や再燃予防において有効性を発揮するセロトニン・ドパミンアクティビティモデュレーター(SDAM)である。米国・大塚ファーマシューティカルD&C Inc.のAndy Forbes氏らは、フェーズIIIの多施設共同研究において、ブレクスピプラゾールのフレキシブルドーズ1~4mg/日における長期安全性、忍容性、有効性の評価を行った。The international journal of neuropsychopharmacology誌オンライン版2018年2月3日号の報告。

 対象は、3つのランダム化二重盲検プラセボ対照フェーズIII試験から、52週間(最終的に26週間へ変更)のオープンラベル試験へ移行した患者。対象患者は、これまでの研究の一部としてではなく、新たに登録を行った。主要アウトカムは、治療下で発現した有害事象(TEAE:treatment-emergent adverse event)の頻度と重要度とした。有効性は、PANSS(陽性・陰性症状評価尺度)、PSP(個人的・社会的機能遂行度尺度)を用いて、副次的目的として評価を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・合計1,072例(52週間:952例、26週間:120例)が登録され、そのうち47.4%が試験を完了した。
・ブレクスピプラゾール投与を1回以上実施した患者において、TEAEにより投与を中止した患者は14.6%であった。その主な内訳は、統合失調症8.8%、精神病性障害1.5%であった。
・発生率5%以上のTEAEは、統合失調症(11.6%)、不眠症(8.6%)、体重増加(7.8%)、頭痛(6.4%)、激越(5.4%)であった。
・ほとんどのTEAEの重症度は、軽度または中等度であった。
・平均体重増加は、ベースラインから26週目までで1.3kg、52週目までで2.1kgであった。
・プロラクチン、脂質、グルコース、QT延長に関連する臨床的な知見は認められなかった。
・患者の症状および機能は、継続的な改善がおおむね認められた。

 著者らは「統合失調症患者に対するブレクスピプラゾール1~4mg/日による治療は、最大52週間の忍容性が良好であることが確認された」としている。

■関連記事
新しいドパミン受容体パーシャルアゴニスト、ブレクスピプラゾール
開発中のブレクスピプラゾール、その実力は
アリピプラゾール維持治療の52週RCT結果

(鷹野 敦夫)