初回エピソード統合失調症患者における抗精神病薬治療中止に関する20年間のフォローアップ研究 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2018/05/09 統合失調症の初回エピソード後に症状が安定した患者では、経時的に再発リスクが減少すると考えられている。多くの治療ガイドラインにおいて、抗精神病薬は、症状安定後1~5年間治療を継続し、その後の長期使用は避けるべきであることが推奨されている。しかし、この見解を証明するための公表されたエビデンスは存在しない。フィンランド・東フィンランド大学のJari Tiihonen氏らは、フィンランド全国データベースを用いて、この問題を調査した。The American journal of psychiatry誌オンライン版2018年4月6日号の報告。 抗精神病薬治療中止後の治療不良リスク(精神症状による再入院または死亡)について、前向き研究で集められた全国登録データを用いて調査した。1996~2014年に初めて統合失調症と診断されたすべての入院患者8,738例のアウトカムを、多変量Cox回帰を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。 ・再入院または死亡リスクが最も低かった患者は、抗精神病薬治療を継続的に行った患者であった(調整ハザード比[HR]:1.00)。次いで、初回入院治療から退院直後に抗精神病薬を中止した患者(HR:1.63、95%CI:1.52~1.75)、1年以内に中止した患者(HR:1.88、95%CI:1.57~2.24)、1~2年以内に中止した患者(HR:2.12、95%CI:1.43~3.14)、2~5年以内に中止した患者(HR:3.26、95%CI:2.07~5.13)、5年以上(中央値:7.9年)で中止した患者(HR:7.28、95%CI:2.78~19.05)であった。 ・抗精神病薬の未使用患者および早期中止患者は、抗精神病薬治療を16.4年間継続した患者と比較し、死亡リスクが174~214%高かった。 著者らは「根底にあるメカニズムは不明であるが、これらの結果は、一般的な考えと相違があった。抗精神病薬治療中止後の治療不良および再発リスクは、統合失調症発症後、最初の8年間で時間とともに減少しておらず、長期抗精神病薬使用は、生存率の向上と関連が認められた」としている。 ■関連記事 安定期統合失調症、抗精神病薬は中止したほうが良いのか 初回エピソード統合失調症患者における抗精神病薬中止後の長期的な影響 維持期統合失調症治療、抗精神病薬の中止は可能か (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Tiihonen J, et al. Am J Psychiatry. 2018 Apr 6. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 統合失調症患者が正常に抗精神病薬を中止した臨床的特徴に関するレビュー 医療一般 日本発エビデンス(2018/11/12) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 新PCIデバイスbioadaptor、アウトカム改善の可能性/Lancet(2024/11/13) 市中肺炎の入院患者、経口抗菌薬単独での有効性(2024/11/13) 本邦初、がん患者の「気持ちのつらさ」のガイドライン/日本肺癌学会(2024/11/13) 乾癬への生物学的製剤、真菌感染症のリスクは?(2024/11/13) MCIの認知機能改善に、最適な運動とその量は?~ネットワークメタ解析(2024/11/13) 尿路上皮がん1次治療の更新は30年ぶり、ペムブロリズマブ+EV併用療法とは/MSD(2024/11/13) 米国成人の10人に6人は炎症誘発性の食生活(2024/11/13) 急性白血病の発症時点でさまざまな眼科所見が観察される(2024/11/13) [ あわせて読みたい ] ~プライマリ・ケアの疑問~ Dr.前野のスペシャリストにQ!【精神科編】(2019/06/15) Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20)